ヨゾラスキップA


 いつも通り、清正の漕ぐ自転車の後ろに乗る。今日は、浴衣が崩れないように少しだけ慎重に座っている。
「さっき言ってたけど、その浴衣立花と買ったんだって?選びっこだなんてクールビューティーで通ってるお前らが可愛いことしてんな。」
「…うるさいのだよ。
今頃ギン千代も彼氏と出掛けてるんじゃないか?奴は浴衣姿も様になっていたからな、きっと宗茂も惚れ直すに違いない。」
 ギン千代の浴衣姿を思い出し、ふふん、と口角が上がる。
「俺みたいに?」
「う、うるさいのだよ馬鹿っ!!」
「ちょ…っ、暴れんな三成!危ねーって!!」
 ガチャガチャ音を立てながら、自転車が蛇行した。





 「花火も見て帰るんだろ?」
「そうだな、今日は天気もいいし。」
 地元の神社で毎年開催される夏祭りは、終盤に花火が上がる。これがなかなか見事で盛大なのである。普段あまり賑わわないこの通りも、今日ばかりは人が多い。今年も混み合いそうだな…。




 近くのスーパーに自転車を止めて、境内に入った俺達。まだ明るい時間帯だが結構な人出だった。
「ほら、三成。」
 俺の目の前に赤いりんご飴が差し出される。
「約束したろ?」
「……ぁ、ありがと…。」
 なんだか気恥ずかしくなって、清正の顔が見れないまま受け取り、照れ隠しに早速頬張る。
「うまい?」
 清正の問いに、りんご飴に口を付けたままこくこく頷く。きっと俺の唇と舌は着色料で真っ赤になっているのだろう。




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