過去拍手F(BSR・佐+幸+三、新年ネタ)


 「新年明けましておめでとうござる三成殿!!まだまだ至らぬところばかりな某を、本年も何卒ご鞭撻下されっ!!」

 大坂城へ、お供に佐助を引き連れ新年の挨拶へやって来た幸村。場所や雰囲気を弁えぬ彼のやかましさに、三成は顔をしかめる。
「……真田。貴様の日本語は崩壊している。」
 そこに佐助はすかさず手土産を差し出し、主の非礼を詫びた。
「いや〜、新年早々騒がしくして悪いねぇ石田の旦那。これ、信州名物のお蕎麦。俺様の手打ちなんだ、良かったら食べてよ。」
 彼は、さながら幸村の保護者である。





 落ち着きの無いこの盟友が、畏まるのが苦手であると三成は充分に理解しているため、好きに寛げと二人を適当な客室に通した。そして茶と菓子だけを用意してやり、あとはおもてなしらしいことは何一つしなかった。しかし、
「うわぁおいしい!噂には聞いてたけど、本当に石田の旦那はお茶の名人なんだね。」
 三成手ずから立ててくれた茶を飲んで、その味に佐助は感激した。
「しかし流石は三成殿、正装も様になっておりますなぁ!その色、非常にお似合いでござるよ!」
 そして幸村は、出された茶菓子を遠慮無く食べながら、にぱっと笑って藤色の着物を纏った三成を褒める。
「……これは、刑部が私にとあつらえてくれたものだ。」
 親友が用意してくれた真新しい着物を褒められて、三成は僅かに頬を桃色に染めた。自分自身のことはどうだって構わない三成だったが、主君や友人、部下など身内を評価されるのはやはり嬉しいらしい。三成は一見気難しいが、味方にすればこれ以上心強い男はいないだろう。剣の腕や頭脳は元より、彼は裏切りを何より嫌い、信じた相手には義を通し抜く一途な性格だった。少々一本気過ぎる気もするが、間違い無く信頼できる人物なのだ。だからこそ武田軍や長曽我部軍と言った強力な勢力が、西軍に下ることをよしとしたのである。





 「…真田……その、貴様の赤い羽織だって……悪くは無いぞ……。」

 そして三成は、絶対に嘘を吐かない。



 少し恥ずかしそうに俯いて、幸村の着物を褒める三成を、客人二人はとても好ましく思った。


 (今年はきっといい年だね、旦那!)
(ああ間違い無い!!)





 今年もよろしくお願いします!





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