過去拍手E(BSR・家→三)
三成は、百合の花のようだと思う。真っ直ぐに伸びて、美しく気高い白い花を咲かす。決して手折ることは叶わない花。そして、いつかは枯れゆく哀しい花。
ワシが三成の「神」を倒した日から、あいつは変わってしまった。ワシへの復讐にのみ取り憑かれてしまったのだ。以前から奴は己の主君に仇成す者に対して容赦が無かったが、その何者をも斬り捨てる刃を……自分に向けられる日が来るとは思っていなかった。
いや、豊臣秀吉を討てばあいつがどうなるかくらい、本当は分かっていた。ただ、話を聞いてくれる余地くらいはあるのではないかと、ほんの少しだけ期待していたが……。
三成がワシに向けたものは、一切の澱みが無い、いっそ美しいくらい殺意だった。
三成にとっての太陽は、秀吉殿ただ一人だったのかな。ワシでは、お前を照らしてやることは出来ないのだろうか。
「家康ぅううう!!」
もう憎しみでも何でも良い、お前の中にワシがいるなら。名前を呼んでくれるなら。
ああ、でも。ワシの前で咲いてくれぬ花なら、いっそこの手で根ごと毟り取ってやるのも良いかも知れない。
「三成ぃぃいい!!」
―終―
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