過去拍手E(BSR・家→三)


 三成は、百合の花のようだと思う。真っ直ぐに伸びて、美しく気高い白い花を咲かす。決して手折ることは叶わない花。そして、いつかは枯れゆく哀しい花。




 ワシが三成の「神」を倒した日から、あいつは変わってしまった。ワシへの復讐にのみ取り憑かれてしまったのだ。以前から奴は己の主君に仇成す者に対して容赦が無かったが、その何者をも斬り捨てる刃を……自分に向けられる日が来るとは思っていなかった。
 いや、豊臣秀吉を討てばあいつがどうなるかくらい、本当は分かっていた。ただ、話を聞いてくれる余地くらいはあるのではないかと、ほんの少しだけ期待していたが……。


 三成がワシに向けたものは、一切の澱みが無い、いっそ美しいくらい殺意だった。




 三成にとっての太陽は、秀吉殿ただ一人だったのかな。ワシでは、お前を照らしてやることは出来ないのだろうか。




 「家康ぅううう!!」

 もう憎しみでも何でも良い、お前の中にワシがいるなら。名前を呼んでくれるなら。



 ああ、でも。ワシの前で咲いてくれぬ花なら、いっそこの手で根ごと毟り取ってやるのも良いかも知れない。


 「三成ぃぃいい!!」





    ―終―



- 6 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -