過去拍手H(BSR・西軍×三成、現パロ)


 こちらは、放課後の2年B組の教室。石田三成から徳川家康を遠ざける会の本部である。本日はメンバーの全員参加とはいかず、真田幸村、長曽我部元親の二名のみで会議がなされている。しかしこの2‐Bは幸村、元親、そして三成の属するクラスであり、保護する対象と最も長く接することが可能な二人が話し合うことは、非常に意味のあることであった。ついでにその他の会員達のクラスは、吉継と元就がC組、佐助が3年A組である。


 「ちょいと考えたんだが…石田が家康に対して他人行儀になるっつーのはどうよ。あいつはすーぐ噛み付いちまうからなぁ…。何かちょっかいかけられたりしても、相手にしなけりゃいいと思うんだが。」
「なるほど、一理ありますな!攻撃して追い返すのではなく躱す、ということでござるか。」

 翌日、残りの面々にその案が伝えられた。
「ふむ、頭の悪い貴様が思い付いたにしては、悪くは無いな。」
「何だと毛利ぃ!!」
「やめい。ここで仲違いなど無益よ。」
 会議が始まるやいなや元就と元親が喧嘩をしそうになるが、それを吉継が制す。
「問題は、どうやって躱す?石田の旦那は結構直情径行型の人だから、抑えてもらうのは難しいんじゃない?」
 佐助が購買部で買ったコロッケパンをかじりながら意見をする。隣りで幸村が物欲しそう見ているので、もう一つ買ってあったメープル風味の蒸しパンを渡してやった。
「そうよの。それがなかなかに難しい……。」
 気難しい親友を思い浮かべて、吉継は腕を組み直し唸る。
「ひゃらは、おおたにろの!(訳:ならば、大谷殿!)」
「旦那、物を食べながら喋らないの!」
 もらった蒸しパンをもふもふしながら幸村が発言するが、佐助に行儀が悪いと怒られた。しっかりと口の中のそれを嚥下してから、幸村が挙手して再び発言した。
「某、呼び名と言うのも重要だと思いまする!」
「呼び名、とな?」
「そうでござる!三成殿は徳川殿に“家康”、と存外に親しげでございます。そこで呼称をよりよそよそしく名字にしてはいかがかと。いきなりが無理なら、徐々に徐々に徳川殿と距離を離して参りましょう。」
「ふむ、頭の悪い貴様「毛利それもういい。」
「それならさぁ、徳川の旦那と離すついでに俺様達と近付いてもらっちゃおうよ!」



 更に翌日のこと。
「ゆ、幸村……。」
「はい!」
「元親……。」
「おう!」
「元就……。」
「ふん。」
「佐助……。」
「はーい☆」
 いいじゃねぇか!と歓声を上げる元親を余所に、三成は顔を真っ赤にしている。そう、三成が友人達を下の名前で呼んだのだ。
 これは昨日練った作戦のうちで、吉継が「これもぬしのためよ」と言うと三成はそれに従った。そして家康を名字で呼べという指令に関しては、「奴など名前で無く記号でいい」と言うので彼のことは元就が考えた「黄色い気持ち悪いの」と呼んで差し上げることになった(家康のトレードマークは黄色いパーカーである)。


 「みっつなり〜☆今日もイイ尻してるなぁ!撫で回したいぞ!」
「おお、早速来やったな。」
 早速現れたヘンタ…いや、家康。だが今日は、皆身構えたりなどしない。
「よう!黄色い気持ち悪いの!」
「えぇ?元親、何だそりゃあ!」
「おはようございます、黄色い気持ち悪いの殿!」
「真田まで!?」
「死ね黄色い気持ち悪いの。行くぞ、刑部、幸村、元親、元就、佐助。」
「あ、待って下され三成殿〜!」
「…え?何でみんな名前で??えぇ…!?一体全体何なんだぁ!!?」
 困惑する家康を尻目に、三成ご一行様はさっさと立ち去ってしまった。たまたまそのやりとりを見ていた政宗は、「ちょっとしたいじめに見えねぇこともねぇな…」と思ったのだが、家康の日頃の行いを鑑みると同情する気は微塵も起きなかったという。



 そして、“「黄色い気持ち悪いの」は長い”と言う意見が出たため後日家康の呼称は「き」いろいき「も」ちわる「い」「の」を略して「きもいの」になったそうな。


 「息災か、きもいの。」
「Σ毛利!!?」

 …最早「ニックネーム」を通り越して、家康の呼称はただの「悪口」と化してしまったのだった。





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