訪れた危機B


ーボゴォオオン!!

「うおぉおおおおお!!!」

この物凄い音ととんでもない大声の発生源は、城門を破壊し城内に押し入って来た赤揃いの熱血漢に他ならない。

「三成殿ぉおおおおおお!!!」
「…来よったか。」

三成を探し、廊下を激走して来た幸村を待ち構えていたのは舅(?)の吉継であった。

「小僧、今更どの面を下げて現れた。」
「某、三成殿に謝罪をしに参りました!!」
「謝罪だと…?戯れも大概にせい。三成には絶対に会わせぬぞ。」

吉継の背後に、いくつも数珠玉が浮かび上がりそれらが鈍く輝く。

「…やはり、すんなりとは通して頂けませぬか。」

吉継に刃を向けるのは本意では無いが、致し方無いと幸村も槍を握り直した。
…そのとき、吉継にとっては来て欲しく無かった、幸村にとっては会いたくてしようの無かった、姫が姿を見せた。

「刑部、鼠の一匹くらい私が始末する。貴様は下がって……、っ!?」

幸村の不躾な来訪を侵入者と勘違いした三成が、愛刀を片手に現れたのだった。

「三成殿!!!」
「幸村……。」

幸村の意識が三成の方へ向かった隙を見逃さず、吉継は彼目がけて勢い良く数珠を打ち込んだ。

ーカキン!

しかし、それは何処からか飛んで来た手裏剣により弾かれてしまった。この暗器を使用しこんな芸当ができる者と言えば、一人しかいない。

「猿め、何の真似をしやる!!」
「おゎ、俺様大谷の旦那が怒鳴ってるとこ初めて見た!」

柱の影から登場したのは、予想通り佐助。だがその正体が明らかになったところで、吉継は攻撃をやめたりはしない。

「何故邪魔をする!?」
「ん〜……。実はね、俺様もお嬢が大好きなんだ。合法的にお嬢の側にいるには、大将とお嬢に夫婦でいてもらうしかないかなって。」

佐助はニッと白い歯を見せて笑うと、分身を繰り出し吉継に応戦した。

「初芽ちゃん、あとはよろしく!」
「はいっ!三成様、幸村様、こちらへ!」
「初芽っ!?」

佐助の合図と共に突如現れた初芽に手を引かれ、三成と幸村は何処かへと連れて行かれてしまった。

「……初芽めも一枚噛んでおったか…。」

吉継は忌々しそうに顔を顰めると、数珠を操る手を止めた。それを見て、佐助も分身の術を解く。

「悪いね。当人同士の話し合いも必要だと思って。ま、ダメだったらあの馬鹿大将は責任持って信州に連れて帰るから、安心してよ。」
「………。」

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