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三成は真面目に、清正は適当に授業を受けて、昼食は一緒に摂って。二人はいつもと同じように過ごし、いつもと同じように放課後を迎えた。友人のギン千代と宗茂が並んで帰って行くのを見送ってから、清正と三成は駐輪場へと向かった。

「高校卒業と同時に結婚かな、あいつら。」
「いや、それは無いだろう。宗茂がギン千代のところへ婿に入って会社を継ぐらしいから、大学を出てからじゃないか?」
「宗茂もギン千代も成績良いしな。」
「お前も少しは見習え。」

既に同級生の間では夫婦扱いされているギン千代と宗茂。彼らとは何かと気が合い、お互い相談相手になったりする関係であった。ついでに言うと、既に将来を約束されている二人に、清正達は少しだけ憧れの気持ちを抱いていた。

「今日はどこに行くんだ?」
「駅前のアーケード街。」
「は?」

一体どこに連れて行ってもらえるのかと思ったら、ごくごく近所のよく行く商店街だと。…予想外の答えだった。ぽかんとしている三成をよそに清正は自転車の後部に取り付けたピンクのクッションの向きを直すと、早く乗るように促した。

スーパーの駐輪場に愛車を停めて、飲食店に青果店や精肉店、靴屋から雑貨屋からが並ぶ大きな商店街の中を二人は歩いていた。三成の機嫌はと言うと、ちょっと傾いているように見える。

「何むくれてんだよ。」
「別にむくれてなど…。」

周りを見渡せば、同じような制服を着たカップルが何組もいた。彼らは皆、幸せそうに笑い合っている。それを見て三成は、商店街デートをパッとしないなと思ったことを少し恥じた。

(清正を相手に何かを求め過ぎてはいけないか…。)

「清正、クレープが食べたい。」
「言うと思った。」

二人は手を繋いで、中高生や若い女性に大人気のクレープ屋に向かったのだった。

「いつものでいいんだろ?」

清正が差し出したのはイチゴとカスタードクリームのクレープで、中にバニラアイスも入っているいかにも女子が好みそうなそれ。三成は礼を言ってから受け取ると、嬉しそうにかじりついた。ちなみに清正が買ったクレープは、中にツナと卵とレタスが入ったスイーツと言うよりは軽食に近いしょっぱいタイプのものだった。

「三成、ほっぺ。クリーム付いてるぞ。」
「む、どこだ?」
「ウソ。」
「馬鹿っ!」

公共の場で、二人は非リア充から爆破されても仕方が無いような仲の良さを見せた。…まぁ、今日がホワイトデーということに免じて、大目に見てやって欲しい。





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