clover(清三・学パロ)


※「アオゾラ〜」シリーズです。幼馴染の清三。giftの方に置いてある「hot chocolate」の続編みたいな話ですが、こちら単体でも読めると思います。






少年は悩んでいた。

来るホワイトデーに、彼女に何をお返しすればいいのか、と。

少年の名は加藤清正。彼の恋人である三成も先月には大層悩んでいたから、似た者カップルなのかも知れなかった。だが、清正の苦悩っぷりは彼女の比では無い。悩みに悩み過ぎて、『そもそもホワイトデーって何なんだよどんなイベントなんだよ起源はいつだよ基本的には何をすりゃあ正解なんだよ逆にどんな例が不正解なんだよ』という疑問を抱えてパソコンに向かってGoogle検索をかけまくっている始末だった。清正はワイルドな見た目に反して、細かいところまでこだわりたいタイプの人間なのだ。大切な恋人に安易な物を贈りたくは無く、今日も今日とて彼はパソコンを開いて情報収集に励んでいたのであった。

(2ちゃんの連中に助けを求めてみるのはどうだろうか……。)

…むしろ、ネットの住人の一歩手前となっていた。



前日まで悩みに悩み抜き、いよいよ迎えたホワイトデー。
彼女を迎えに行くところから清正の朝は始まる。いつものように二回自転車のベルを鳴らすと、すぐに玄関が開いて三成が出て来た。

「よ。」
「おはよう、清正。」

こちらもいつものように、自転車を二人乗りして登校する。もちろん駐在所の前は迂回して通らない。清正はほぼ毎日後ろに三成を乗せて走っているので、先日一人で自転車に乗ったら逆にバランスが取りづらく転びかけた。別にそのことは、三成には言わなかったが。

「清正。」
「ん、何だ?」
「今日は、その……。い、いや!何でも無い!!」

三成も今日という日を意識しているようで、何だかそわそわしているのが背後から伝わって来た。だが、素直に何かをねだったりするのは恥ずかしいのだろう。そんな様子が可愛くて、清正は思わずにやけてしまった。

「今日放課後、付き合えよ。」

デートしようぜ。

平素と違って落ち着かない彼女の様子をもっと観察していたい気もしたけれど、何だか意地悪をしているみたいな気分になって、清正はもったいぶるのをやめてそう言った。心配しなくても、ちゃんと何の日か分かってるから。

「…つまらぬところへ連れて行ったら承知せぬからな。」

可愛げの無い返事も慣れたもの。言葉とは裏腹に、背中におでこをくっつけている彼女はきっと真っ赤な顔をしているのだろう。清正はそれに気付かないふりをしてペダルを踏んだ。





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