名裁き!(正+清三?)


 「うるせぇこの潔癖理想家馬鹿!」
「何だとこの筋肉築城馬鹿!」



 あーあ、三成と清正がまぁた喧嘩しちまった。こいつらがちょっとした小競り合いをするなんてことはもう慣れっこなんだけど、本当は二人共好き合ってる癖に、何で仲良くできねぇんだろうっていつも思う。清正も三成も、変に大人ぶってるもんな〜。絶対ぇ損してる。
 …さて、いよいよ俺が一肌脱いでやるときが来たかな。叔父貴にも頼まれてるしな!




 喧嘩奉行と名高い俺だが、「ゲンコ突き合わせて思いっ切り殴り合って、すっきりしてから腹ぁ割って話し合え!」と前に言ったら二人に声を揃えて「餓鬼!」と言われたので今回は少しばっかり考えてみた。紙と筆。これを使って、二人に仲直りをさせようと思う。
 まず、それぞれ自室にいる二人に個別に会いに行き、紙と筆を渡した。最初に、「相手のどこが嫌なのか、十個挙げてみろ」と書かせてみた。そうしたらまぁ、清正も三成も出るわ出るわ。十個じゃ収まり切らねぇ勢いで筆が進んでいた。でも、「口うるさい」だとか「頑固」だとか「皮肉屋」だとか、大体似たようなことを書いていたから相当笑えた。それから、「相手のどこが好きか、同じように十個挙げてくれ」ともう一枚紙を渡した。そうしたら「何故そんなことを!」と二人共に噛み付かれたが、叔父貴の名前を出してどうにか丸め込んだ。
 二人共、小さく唸ったり頭を掻いたり、だいぶ悩んでいた。でも、それが良いことなのだと俺は思う。お互いのことを一生懸命に考えるってことは、理解し合う上で拳を交えるのと同じくらい大切だ。…だがあまりに時間がかかり過ぎているので、「思い付かなければ五個でいいぜ…」と譲歩してやった。



 そしてどうにか二人からの回答を得て、俺はにんまりと笑った。嫌いなところはさて置いて、お互いに好きなところ。
 「揺るがぬ忠誠心、秀吉様も認める武力、建築の知識が存外にあるところ、温かい手、優しい声と性根。」
 「豊臣家第一なところ、秀吉様も認める知力、案外領民思いなところ、一途な信念、綺麗な瞳と性根。」
 どっちがどっちかなんてすぐ分かるよな!くぅ〜!来たコレあいつらラブラブじゃねぇの!!
 さて、二人を俺の部屋に呼び出して、これをそれぞれに渡せばそれでお終い、キレイに仲直りだぜぇ!



 「「〜〜〜ッ!!!」」
 お互いの回答を見て、顔を真っ赤にする二人。にやにやが止まらないのは俺一人。
「どーだよ二人共。お互いこんな風に思い合ってるんだ、仲良くできない訳ねぇだろ?」
「「謀ったな正則!!」」
 おー息ピッタリ。
「別に騙しちゃいねーよ。叔父貴に、清正達が仲違いしたら仲裁は俺がしろって言われてんだ。」
 えっへん、と胸を張ると、清正が溜め息を一つ。
「……はぁ、お前には毒気を抜かれるな。」
「まったくだ。」
 二人が笑ったので、俺も嬉しくなって一緒に笑った。これにて一件落着、だな!!






 おまけ。

 「清正、先のは本当に……?」
「嘘なんか書いてどうすんだよ。…それより、お前こそ本当のこと書いたんだろうな?」
「俺が偽りなどを書き示す訳が無かろう!」
「そ、そうか……。」
「清正……。」
「三成……。」
 夕日を背景にしばらく見詰め合い、そしてそっと抱き合う清正と三成。ほんと、この二人がうまくいって良かった!そう心から喜んで、デバガメしながら俺は涙を拭ったのだった。




  Happy end、だな☆




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