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離れられない、離れたくないB
「おい、いきなりどういうことだよ!?」
清正は、壁を向きこちらを見ない三成の体を強引に引き寄せた。
「離せ、布団が傷む。」
あくまで三成は冷たく言い放ち、「もう俺に触れてくれるな」と、清正の手を振り払った。
「何の冗談だよ三成!意味が分からねぇ!!」
だが彼の拒否の意を受け入れることなど清正には出来ず、無理やり抱え起こして三成を腕に捕らえた。
「離せ!!
俺では…お前を……っ!」
気丈に振る舞うが三成の声は震え、瞳には涙が滲んでいた。
「……俺は、お前の愛を体にとどめて、形にしてやることが叶わない…。俺達が必要以上共にあることは…無意味なのだ……。」
今にも零れそうな涙を清正はそっと拭った。
「お前が何をそんなに気にしてるのかは分からねぇけどな、一人で早合点して俺から勝手に離れようとするな。」
「しかし……!」
「いいから、もう黙れ馬鹿。」
清正は三成のさらさらとした細い髪を撫で、額に口付けを一つ落とした。
「俺は嫁なんていらねぇ。子供が欲しいなら、いくらでも養子を取ればいい。
俺は…お前がいてされくれればそれでいい。それだけで幸せなんだ、無意味だなんて言わせるかよ。」
「………。」
すっかりされるがままになった三成を、清正は背中や頬を撫でたりとあやすように優しく触れた。
「お前は、もう俺が嫌いになったのか?」
清正の問いに、三成はゆるゆると首を振った。清正を想えばこその行動だったのだが。
(もう、離れることなど出来ぬ……。)
清正の優しい手に応えるように、自らも彼の頬にそっと触れて唇を寄せた。
「お前、おねね様に嫉妬してくれたんだろ?愛されてんな、俺。」
「だ、誰が…っ!」
笑って揶揄する清正に、顔を真っ赤にしている三成。そんなやり取りをしながら、二人はぴったりとくっついていた。なかなか素直にはなれぬものの、既にお互いに中毒と言っても過言では無い。そんな彼らが今更離れることなど、出来る筈は無いのだった。
「大体、もうお前以外に欲情しねーし。具合良くなったら覚悟しとけよ。」
「…台無しだ、この助平が!!」
不穏な動きをする清正の手を、三成は思い切り抓り上げたのだった。
―終わり―
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