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惚レタラ負ケヨB
……参るよな、たまにこんなにしおらしくて、
こんなに愛しい。
「馬鹿、お前が我が儘なことくらい、俺は百も承知なんだよ。今に始まったことでもねぇだろ。」
顔はよく見えないが、こいつは今にも泣き出しそうだった。そんな三成に、俺は自分が出せる一番優しい声で言った。
「そんなとこ含めて、お前が好きだ。」
……やっぱり恥ずかしいな。
「きよ、まさ……。」
「泣くな、馬鹿。」
「馬鹿、な、泣いてなどおらぬっ!」
目元を着物の裾で拭う三成。バレバレだっての。しかし、愛想尽かされて無くて良かったと、心底安堵している自分もちょっと可笑しかった。
まぁなんとか仲直りもできたみたいだし、俺は久方振りに三成の香りと感触を堪能した。着物の上からの、まるで童子のような触れ合いだったが、愛しい人と共にいるだけでこうも心地良いものか。
「清正……。」
「何だ?」
「その…、先日は俺の方こそ済まなかった。
……えぇと、そのぅ…何だ…、お、俺も、お前と同じ気持ちでいるからな……?」
頬を赤く染めて、うつむき加減で言う三成。最後の方は小声だったのだが俺を地に落とすには充分過ぎる一撃で。
クソッ、こいつタチ悪ぃな!!
俺達はまた喧嘩をするのだろう。そうしたらまた俺が謝りに行って。多分その繰り返しなんだと思う。
恋って、惚れた方が負けだって、身に染みるよな……。
―終わり―
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