強敵現る!?B


 「離せ清正、汗臭い!」
 案の定三成は暴れたが、離す訳などない。
「それ、どういう意味だよ?良い意味か?悪い意味か?」
 三成を抱き締め、良い香りのする髪に顔を埋める。
「い…良いも悪いも、そのままの意味だ!行長も吉継も友人だからな!」
「そうか。じゃあ俺は特別か?」
 意地が悪いのは承知で、清正は三成に問い掛ける。
「……たかだか旧友と風呂に入っただけだ、あまり妬いてくれるな、馬鹿…。」
 恥ずかしくなったのか先の質問には明確に答えぬまま、三成は清正の逞しい胸板に隠れるようにぴったりくっついた。汗臭いとは思ったが、まるでお日様のような、清正の匂いがした。
「いや、それでも相手が行長だったってのが気に食わん。」
「…お前にとっては敵かも知れんがな。俺にとっては弥九郎も紀之介もたまにしか会えぬ友人なのだよ。」
「あの似非キリシタンめが……。」
 清正の行長の毛嫌いっぷりに小さく吹き出す。
「お前にひっつかれて俺まで汗をかいてしまったではないか。もう一度湯浴みに行こうと思うのだが、お前も行くか?」
「行く。」
「…即答だな。まぁいい、背中くらいなら流してやらんこともない。」
「そりゃ有り難いな。」


 「清正…。」
「三成…。」
「さきちゃあ〜ん!!」
 二人がイイ雰囲気になったそのとき、行長の大きな声が割って入った。慌てて離れる清正と三成。
「あ、さきちゃん!こんなとこにおったんかぁ、探したで〜!ん?何やーお虎もいたんかぁ。まぁそんなことはええな。
さきちゃん、今夜一緒に寝やぁ〜?」
 騒がしく道場に入って来た行長の小脇には、ご丁寧にも枕が抱えられていた。
「…行長ぁ!お前ふざけんなよ!」
「いきなり何やお虎!俺はさきちゃんに話しとんのやで!!筋肉馬鹿は向こう行きや!」
「何だと!?商人上がりの癖に!」
「うっさい身分は関係無いわボケ!!」




 「………。
そうだ、吉継に癒してもらおう…。」
 喧々囂々と口喧嘩を始めた二人を尻目に、付き合い切れん…とばかりに三成はその場を去ったのであった。



   おしまい☆



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