強敵現る!?(清三)@


 「さっきちゃ〜ん!」
 どたどたと足音を立てて、行長が三成に駆け寄って行く。
「行長か。どうした?」
「なぁなぁ、今夜は一緒に風呂に入ろうや〜。」
「はぁ?何を言い出す!」
「ええやんかぁ、小姓時代を思い出して!大坂城の風呂場はごっつぅ広いから、デカくなった今でも問題ないやん!なかなか俺達会えへんしぃ〜、な〜?」
 まくし立てるような関西訛りと人懐っこい笑顔で、三成に甘えるようにねだる行長。
「な?な?」
「……仕方ない、今日だけだぞ。」
 ふぅ、と溜め息を吐きながら三成は行長の申し出を渋々と言った体で了承した。
「やったー、さきちゃん大好きやぁ!」
 思わぬ色良い返事に行長は子供のように喜び、三成に飛び付いた。
「ぅわっ!?危ないだろう、離れろ!」
 よろけた三成を抱え起こして、行長は無邪気に笑う。
「えへへ〜、嬉しくてなぁ、堪忍や〜。」
「まったくお前は…。
そうだ、どうせ一緒ならば紀之介も誘うか。」
「えー!?二人きりじゃないんか!?」
「うるさいぞ。“小姓時代を思い出して”と言ったのはどこのどいつだ。」


 仲睦まじくじゃれあう(?)二人を、少し離れた柱の影から清正が奥歯をぎりぎりと噛み締めながら見ていたことは、誰も知らなかった。




 三成、行長、吉継の文治派三人が湯浴みの支度をして廊下を歩いていると、前から武断派である正則と清正がやって来た。
「お前ら揃って一緒に風呂かよ〜。子供みてぇだな!」
 正則が三人につっ掛からない訳が無かった。
「ふん。」
「はぁ?」
「……。」
 それに対する反応は言うと、上から三成、行長、吉継。正則など歯牙にもかけず、横をすり抜けて行く三成達。
「な、何だよ!畜生〜っ!」
 冷ややか過ぎる返答に、正則は地団を駄踏んで悔しがる。
「アレが三人固まったら、お前じゃ相手になんねーだろ。」
 ぽんぽんと、宥めるように清正はリーゼントの肩を叩いた。彼の視線は、楽しそうに喋っている三人の後ろ姿に注がれていたが。


 そんな清正を行長が振り返り、三成や吉継にはまさか見せない黒い笑みをにやりと浮かべたのだった。

(あの野郎……っ!!)




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