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酒は呑んでも呑まれるな(清三)
もう、俺がいないところでは絶対こいつに酒は飲ませない!!
今夜は特別何がある訳でも無いのだが、左近が良い酒が手に入ったからと三成と俺、あと正則を誘って四人で酒を飲むことになった。宴会好きな正則は、その他に張り切って様々な酒を用意してきた。
さて、始まって半刻程度。早くも俺の目の前には見事な酔っ払いがいたのだった。
「とら〜ぁ…。」
俺の膝でごろごろと甘える三成。正則に対抗して飲んでいたようだ。弱いくせに、酒豪に張り合うなんて何を考えてる…。
「三成、お前飛ばし過ぎだ馬鹿。」
三成が甘えてくるなんて、普段から考えればかなりオイシイ状況なのだが、左近や正則がいる手前やんわりと奴を遠ざける。
「むー……。」
「てめぇ頭デッカチ、あんま清正に迷惑かけんなよなー!」
お前もあんまり三成に絡むな!
「しゃこーん…。」
「おやおや殿、随分大胆ですなぁ〜。」
よろよろと、次は左近に抱き付く三成。な…っ、こらふざけるな!!
「しっかりしろ三成!」
慌てて二人を引き剥がした。左近め、何をにやにやしてるんだ…!
「これがあの頭デッカチかぁ、おっかしーな〜!」
正則が常ならぬ三成の様子に笑い出す。
「いちまちゅ…。」
「お、おおおお!?なんだよぉー!!」
今度は正則かぁああ!!!正則お前何顔赤くしてんだ!後でしばく!!
「お前もうやめとけ!」
いい加減頭に来た俺は、三成から杯を奪い取り強引に寝所へ連行した。
(そのときの俺の背後には、雄々しくも恐ろしい虎が見えたと後に正則は語った。)
無理やり連れて来られた三成は、暴れたりはしなかったもののぴったりと俺にひっつき離れない。…こいつの呂律の回らぬ様も可愛いし、勿論満更ではないのだけれど。
「とら…。」
「俺は虎之助じゃない。」
「にゃにを…。お前はいつまでも俺の可愛いおとらだ。」
へにょんと笑う三成。
「俺はもうガキじゃねぇよ。」
色々限界だった俺は、噛み付くように三成の唇を塞いだ。言葉通り幼い口付けではなく、呼吸を奪うようなそれ。三成の舌先からは、さっきの清酒の味した。
しばらく翻弄してやった後、解放された三成は俺の腕の中でかくんと脱力した。
「おい、まさかこれで終いのつもりじゃ……」
言いかけて、言葉を失くす。目を閉じて寝息を立てている三成。
………こいつの酒癖最悪だ!!!
―清正一人がモヤモヤしたまま終わり―
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