この日をA
「うわっ!?」
多少よろけるも、文官であるこいつを受け止め切れないほど俺はヤワではないのでしっかりと三成を抱き止めた。すると、ぐいぐいと抱き付いて来るではないか!!
三成超イイ匂い。俺絶対汗くさい。なんか恥ずかしい……じゃなくて!
「あの…、三成??」
俺の胸に顔を埋めたままの三成に声をかける。
「今日は……。」
「ん?」
俺の腕の中で三成がもぞもぞとみじろぐ。
「今日は…お前の誕生日だろう……。」
「…そう言えば、そうだったな。」
そうだ、すっかり忘れていたな…。
「…だから……。」
「今日はお前を好きにしていいと?」
額同士をこつんとぶつけながら言う。ニヤニヤしてんのが自分でも分かってしまうが止められない。
「そこまでは言っておらぬ…っん!」
さっきまで迫って来ていた威勢はどこへ行ったやら、やっぱり素直になってくれない愛しい唇を己のそれで塞ぐ。
「もう何も言うなよ。分かってるから。」
「……っ、いや、言わせろ!」
もっととせがむ俺の体を三成は必死で押し返そうとする。
「…何だよ。」
いい雰囲気だと思っていたのだが、何が気に入らないのか。あーだのうーだの言い澱んでいるが…。
「……誕生日、おめでとう…清正……。」
そう絞り出して三成からの口付け。恥ずかしいのか、真っ赤な顔してぼそぼそ喋ってるけど俺にはしっかり届いている。
「…俺は、お前に会えて嬉しい…と、思う……。この日を、有り難く思うのだよ……。」
ああ!なんて幸福な贈り物だろうか!!
「俺も、お前に会えて嬉しい。生まれてこれた今日の日を、嬉しく思う。」
俺もお前も、今日はいつもの皮肉はしまっておいて。二人出会えた幸せに浸ろうか。お前が側にいて笑ってくれてれば、どんなに高価な武具や反物も、美味い飯と酒だっていらないさ!
おしまい!
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