さっきまでなんかいいゆめみたなあ。ふわふわする意識のなかで先程の光景を思い返す。甘寧と凌統はやっぱ実写になってもイケメンだったな。あと呂蒙の髪解いたとことかレアだったなあ、あーあいい夢だった。いいゆ、いてっ、ちょ、誰だよ頬っぺたつんつんしてんの私はまだねてたいって、ちょ、いたたたた!
「これ死んでるんじゃねえの?」
「ばか、だからちょっかいだすな、って」
「夢じゃなかった!」
「うおっ!!」「うわっ!!」
聞こえてきた声にがばっと身体を起こせば私の枕元に座っていた甘寧と、少し離れていたところに立っていた凌統が驚いた声をあげたけれどそんなもん気にならない。なんたって大好きな無双キャラが画面越しではなく触れられる位置にいるのだ。
「甘寧だ甘寧だ!かっこいい!半裸だけどかっこいい!!」
「俺ってかっこいいのか?」
「うん!かっこいい!!」
「だよなー!俺かっこいい!」
「イエーイ!甘寧イケメン!」
「いけめんってなんだ?」
「えーと、まあまとめればかっこいいって意味だよ」
「なら俺はイケメンだな!」
ぺたぺたと甘寧の鍛えられた肉体(半裸)を触りまくりながらノリでイケメンと連呼しあっていると、部屋の隅から凌統のため息が聞こえて、顔をそっちにむけた。
「あんたらちょっと落ち着けよ」
「あ、もちろん凌統もイケメンだよ」
「えー、あいつもイケメンかよ」
「それはいい。はあ、とにかくあんたもう身体大丈夫か?」
「え?」
夢だけど夢じゃなかった感動に浸っていた私は凌統がいう意味がわからず首を傾げた。横で甘寧も首を傾げていた。ええー甘寧もわかんないのかよ。
「風呂でぶっ倒れたろ」
「あ」
大丈夫、といおうとしてはたときがつく。私、服、着てるのはなんで?
「あ、安心しろよ。着替えさせたのは女官だ」
「あ、よかっ」
「まあ、ちっとは見たけどな!もうちょっと胸はでかいほうが俺は好きだぜ?」
「よくねええええ!!!」
ばっと凌統を見れば苦笑された。なんてこったい!
「む、胸はしょうがないもん!わーん!」
「大丈夫だっていつか大きくなるぜ!むしろしてやる!」
「甘寧…!とか感謝すると思ったか!破廉恥成敗!」
甘寧のたくましい胸を叩けば簡単に跳ね返されてやたらと悔しい。くつくつと笑われるのもまた悔しい。恥ずかしいのと悔しいのでむ、と黙り込んでいると凌統がす、と私が寝ているベッドに腰掛けて目線を合わせてきた。ああ、やっぱり整った顔だなあ。
「で、あんた名前は?」
「あれまだいってなかったっけ。片桐葵、女子高生です!」
「(じょしこうせい…?)葵、ね」
「葵っつのか!」
「うっわ、二人に名前呼んでもらえるとか生きててよかった…!」
あまりのうれしさにでれっとすれば凌統の目がいきなり鋭さを増した。
「で、なんであんたの方は俺達の名前をしってるんだ?」
その問いにゲームのなかで、とはなぜだか答えたくなかった。だって、彼等は今、私の目の前で生きているのだ。仮想ではなく、現実として。
「それは、」
どう答えようかと首を苦笑したときだった。
「その答え、我等も聞かせてもらおうか」
静かに開いた扉の向こうに今度はきっちりといつものように髪を結いあげている呂蒙さん(一応さん付けしておこう)とその後ろに誰かがいた。

ハローワンダフルワールド

(呂蒙さん私の裸みたんですってね)
(なっあ、あれは不可抗力だ!)
(ちなみにオッサンは俺より巨乳好きなんだぜ)
(は、破廉恥の具現化!)
(やめい!!)



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