さて、問題です。
私はどこで寝ればいいんでしょう



「お。楓ちゃんやっとあがってきた」
「え、どうかしました?」
どうやらいろいろ考えているうちにずいぶん長いことお風呂に入っていたらしい、時計を見れば30分ほど時間がたっていた。
「あのね、布団と俺たちがどこで寝たらいいか聞こうと思って勝手に触っちゃ悪いでしょ」
「ああ!すみませんすっかり忘れてました!」
「あはーいいよいいよ。で、どこで寝ればいい?旦那がさあ。もうおねむの時間なんだよね」
佐助さんが指さした方をみてみれば、確かに幸村がこっくりこっくりと首を揺らしていた。そういえば昔の人は早寝早起きだったっけ、悪いことしたなあ。
「えーと、じゃあ…」
いいながら、部屋の構造を考える。二階は私の部屋、兄の部屋、そして私たちが子供のころ一緒に使っていた子供部屋に空き部屋。
兄の部屋は勝手に触れないからとりあえず使えない、私の部屋は渡してもいいけど穴があいている。それならば子供部屋と空き部屋を使ってもらうしかない。
「部屋割りは佐助さんと幸村、政宗と小十郎さんでいいんですよね」
「あぁ、それで頼む」
「じゃあお布団出しましょうか。手伝ってもらえます?」
「OK、どこに行けばいいんだ?」
そういって立ち上がった政宗が私のそばにくる。見上げれば口調や行動は変わらないものの眼が少しだけ眠そうなのを見て思わず笑ってしまった。
「What?」
「眠たいの?」
「…No,眠くねぇよ!真田みたいなChildじゃないんでな」
「ふーん」
ニヤニヤ笑ってそう言えば、政宗の大きな掌がぐしゃぐしゃと私の髪をかきまわした。

さすがというべきか佐助さんと小十郎さんの布団のひき方はものすごくきれいだった。
ぴしりと伸びたシーツや端がきっちりそろった掛け布団はもはやはいるのがもったいないほどだ。
布団はお客さん用のをひっぱりだして何とか人数分あったことにほっとしたのもつかの間、押入れの匂いが染みついてしまっていて申し訳なくなった。
「すみません、干しておくべきでした…」
「いや、別にかまわない、急なことだったしな、明日干せばいい」
ぽん、と頭に手を置かれて小十郎さんにそう言われた。
「それじゃあおやすみなさ、」
い、と言おうとしたところではたと気がついたことがある。
「どうした?」
「ん?どうした、Honey」
「私の、ベッド」
「Bed?」
「砂埃だらけだ…」
その言葉に小十郎さんの口元がひくりと引き攣った。
「どしたの、そっち終わった?」
そこでひょいっと顔を出したのは佐助さんだ。そこで変な顔をしている私たちに気がついたらしく、びくりと身体を震わせた。
「な、なんかあったの?」
「いや、楓が寝るところがな…」
「そんなら、俺と寝ればいいじゃねえか」
「は?」
さらりと、そう言ったのは政宗だ。それに呆気にとられているうちに身体が浮いたと思うとそのまま政宗の腕の中に抱かれたまま布団の中にダイブしていた。
「ちょ、ちょっと!!!これは!」
「HA、いいじゃねえか。俺のHoneyなんだしな」
にや、と端正な顔が間近で笑う。わああああやめてくれええ!
「私リビングで寝るから!大丈夫ソファーあるし!」
「風邪ひいちまうだろ?こうしてたらあったかいだろ」
ぎゅうっとより腕に力が込められて悲鳴をあげそうになる。なにこれ何の罰ゲームほんと恥ずかしい!死ぬ!と思っていたところで両側から引っ張られて身体を引き離された。
「はいはい、そこまで」
「そこまでです」
もちろん、そうしたのはいつもの二人で。政宗の首根っこを小十郎さんが私を佐助さんが後ろから抱え込んでいた。
「Shit!オイ小十郎!いいところで止めてんじゃねえよ!」
「いいところではありません。いい加減にしてください!」
「楓ちゃんももうちょっと危機感もとうね〜」
「う、は、はい」
「でも俺もりびんぐとやらにお前が一人で寝るのはどうかと思うぞ」
「俺様もそう思うなあ」
「いやでも一日ぐらいなら大丈夫な気がするんですけどね」
「だめ」
「だめだ」
二人のオカンにそう言われて私はだったらどうしたらいいの、とがっくりとこうべを垂れた。

「で、こうなったわけですけど」
これは逆に寝られないです、と心の中でつぶやいた私は今小十郎さんと佐助さんの間に寝ています。布団を五個並べてその真ん中にわたし、両脇に佐助さんと小十郎さん、そしてその横に幸村と政宗。5人並んで仲良しこよしだ。
「何で俺とHoneyがこんなに遠いんだよ!」
「楓が危ないからです」
あぁ、そんなにきっぱりと答えちゃって小十郎さん…。ぎゃあぎゃあと騒ぐ政宗はすっかり目が覚めているみたいだ。
「あーホント旦那寝ててよかったこういうふうに寝るとかいったら絶対うるさかったよ」
安堵のためいきを吐く佐助さんは寝ている幸村を転がしてこの部屋まで移動させてきた。よく考えるとこの部下たち、上司の扱い結構めちゃくちゃなんじゃないか。
「とりあえず暗くしますね。おやすみなさい」
手元のリモコンで電気のスイッチを落とす。徐々に暗くなっていく世界でみんなのおやすみ、という声が響いた。



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