花に恋して [ 1/2 ]

【現パロ】



花に恋して






心地の良い行きつけのカフェ。まるで指定席のような、いつもの窓際の席に腰掛ける。
優しいジャズのBGMに、サイフォンで一杯ずつ手入れしている美味しいコーヒー。
レトロなヨーロピアン調の内装もとても落ち着く。

これはスコールが、この店を好きな理由だ。
しかし、それだけではない。
最大の理由は、店の向かいに花屋があること。

何も花が大好きなわけではない。
スコールが窓からみているのは、花屋にいる彼─フリオニール─だ。

彼を見ている時に表情がほんの少しだけ柔らかくなる。いつもならば。

だけど今日はまだ無愛想な表情は崩れない。
フリオニールの姿が見当たらないからである。
(今日は…いないのか?)そう思いながら、鞄から手持ちの本を取り出しページを開いた。



コーヒーカップの白い陶器の底が現れ、物語に一段落つくと、スコールは再び窓の外に目をやった。
その視線の先にはお目当ての人物がいて、頬の筋肉が少し緩む。
すると彼と偶然目があった。
ドキッとし、どうすればいいかと思っていたら、向こうから会釈される。思わずこちらも礼を返す。
フリオニールは微笑むと、店の外に飾られている花をいじりだす。
その姿を見て、スコールは席を立ち、彼の店へ足を向けた。

花に触れている彼の側に行くと、明るい笑顔で迎えられた。


「いらっしゃい。」

「さっきはどうも。」


スコールを見て、フリオニールはとても嬉しそうに笑う。


「いつもあのカフェからこっちの方、見てくれているよな。もしかして─」

少し照れくさそうな顔に変わる。
まさか、彼を見ていたことに気づかれたのだろうか。
スコールの顔に熱が集まる。


「うちの花気に入ってくれてるのかな、と思って。」


自分の想像とは違う言葉が続き、スコールは肩すかしをくらった気分になる。
それでも幸せそうに花に目をやるフリオニールを見て、思わず笑ってしまう。
スコールと目が合うと、彼はまた照れくさそうに笑う。


「あぁ、とっても。あの店からここの花を見ているのが好きなんだ。」


側にあった、彼によく似た薔薇を見つめながら、スコールは答えた。


その花の意味がフリオニールだ、ということをお互いきちんと知るようになるのは、まだ大分先のこと。




_
も、もっ、貰ってしました……!
Royal Milk Teaのえりさんから頂きました!
誕生日祝いをくださるなんて、ホント嬉しくて嬉しくて……!
ホントに有り難う御座いますw

[*prev] [next#]





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -