人と目を合わせて話すのが苦手だ。
目を合わせて話すと心を見透かされそうで怖くなってくる。


そういえば、昔ママ先生に「人と目を合わせて話なさい」と怒られた記憶もあるな……。



いつも一緒に行動しているバッツもジタンも目を合わせて喋ってくる。
俺は合わせないからママ先生みたいに怒る。



―……さっき、心を見透かされそうで怖くなってくるって言ったけど、もう一つ理由がある。






ただ、恥ずかしいだけ。





ジッと顔を見られると恥ずかしくなってくる。
身動きが出来なくなると言うか……。
視線から逃げれなくてどうしようも無くなる。



目力が強いやつ――ウォルやティナ、セシル――は特に焦る。
あの三人は特に強い。
何かあの三人は俺に大して過保護すぎるんだ。






でも、例外がいる。ティーダ。
あいつだ。




俺が目を合わせるまで待ってる。
それが何とも言えなくて、んって気持ちになる。



ほら、来た。ティーダだ。



「スコールッ!」
「……何だ」



こいつと喋るのは嫌いじゃない。
むしろ好きだ。

ただ恥ずかしいだけで話すのは問題ない。
ただ目を合わせるのが恥ずかしいだけ。




「ほらーまた目ぇ逸らしてんじゃんかぁ」
「そ、逸らしてない。目がそっちに向きたがってたんだ」
「はぁ?何言ってんだよ。こっち向けよー」
「んーッ!」




ティーダは俺の両頬を掴んで自分の方へと向かそうと必死だ。



「ひぃーや!ほっへいあい」
「スコール可愛いー」



ティーダはニコニコしながら俺の頬で遊ぶ。何で俺がこんな目にッ――……



「え?スコール!?」
「ッ、ふッ、うぁあ」




痛すぎて涙がボロッと溢れてきた。
俺が泣き出してビックリしたのか、頬から手を離した。
自分で頬に触れてみると、少し熱い。
きっと赤くなってるだろう。



「スコールごめんな」
「ばっ、顔見るな!」



泣いている顔を見られるのが嫌では俺はその場にしゃがみこんでティーダから背けた。
鼻とか真っ赤かもしれないし、見られたくない。



「どうしてさ、いっつも俺から顔逸らすの?」
「……はずかしかっ」




あ、危な……い。
言ってしまう所だった。
言ったら絶対に、「スコールだっせー」って言われるに違いない!




「俺を見てると恥ずかしいの?」
「!?なんで分かってッ」
「普通、はずかしかっ、まで言ったら分かるっスよ」
「……」




ティーダは俺の反応を見て、当たったって言って笑った。
しゃがみこんでる俺に目線を合わせるようにティーダも俺と同じようにしゃがんだ。



「スコールは、俺と顔を合わせたら恥ずかしい以外にどんな風になる?」
「……バッツやジタン達と違って、ここがドキドキするし、モヤモヤする」
「俺の事好きなんスね、スコールは」
「はぁ?」
「だって恋じゃん!それ。ドキドキしたり、その人が自分以外の人と喋ったりしてるのとか」




――ティーダと楽しそうに喋ってたクラウドにイライラした――


俺は楽しい会話なんて出来ないから尚更


――ティーダが笑いかけてくれて嬉しかった――


俺だけに笑ってくれた気がしたから






こっ、恋!?





「んー、んー、んー!?」




ティーダの事が好きだと分かった瞬間一気に恥ずかしくなった。
顔合わせられない所の話じゃない。
穴があるなら埋まりたい……。




「顔見せろよーどうせ今真っ赤だろ?」











見るなッ見るな、見るんじゃない!





(今目が合ったら倒れそう)

*PREV END#

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