何だか自分がちゃんと地面に足を付いてない感じがする。
もしかしてこれって熱とか出てるのかな。
そう言えばと俺は思い出す。
昨日サッカーの練習が終わってからマスターランクのみんなで今後の練習について会議をした。
結構夜遅くまで時間が掛かってしまって俺は部屋に戻って少しベットに転がったらそのまま寝てしまった。
……原因はこれだな。汗をかいたのにシャワーをその日のうちに浴びないで寝たからだな。
あ、でも起きてシャワー浴びたからね!俺臭くないから!
そんなわけでやってしまったって訳である。
今倒れたら駄目だ。今練習中なんだから……。
今度俺達はジェネシス計画というものを実行する。
父さんが吉良ヒロトの事で復讐をする第1段階といった所かな。
簡単に説明するとまず最初は日本を侵略するんだ。
とりあえず今は大事な時期なんだ。それなのにマスターの1人のキャプテンである俺が体調管理が出来なくてどうするんだ。
でも、何かウルビダがぼやけて見えるっていうか……あれ、ウルビダってガイアに二人もいたっけ?それはそれで凄いチームなんだけど。
ここに居るのはガイアだけじゃないんだ。他のマスターのチームのプロミネンスだってダイアモンドダストだって居るんだから……倒れちゃ駄目なんだ。
「グラン」
「……なんだい、ガゼル……」
こんな時に限って話しかけてこないでよね、なんて思いながらガゼルの方に視線を向ける。
ああ、ガゼルが三人にも見える。ガゼルが三人もいるとアイス代が大変な事になるね……。
「ちょっと話したい事があるから今上がってくれないか?」
「話したいこと?ここじゃ駄目なの?」
「ああ、ここじゃ絶対駄目だ」
真剣な顔で言われたから頷くしかない。
俺はウルビダに後を頼んで先に上がる事にした。
会議室じゃなくて俺の部屋で話すと言っていたからとりあえず着替えていいかな。
このユニフォーム結構窮屈なんだよね。
俺はいつも守に会いに行く(覗きに行く)格好でガゼルを待つことにした。
「すまない、遅れた」
ガゼルは着替えてこないでユニフォームのまま来た。
……ガゼルの私服のセンスは凄いもんなぁ、なんて小さい頃を思い出す。
「で、大事な話って?」
俺がベットに腰をかけると、ガゼルにトンっと肩を押されてベットに押し倒されてしまう。
「何考えてるんだい」
ガゼルは俺の上で跨り俺の顔をじっと見つめる。
もしかしてジェネシス候補を潰していくっていう事か……!?
「ガゼッ」
「ヒロト、お前熱があるだろう」
「え……」
俺の額に手を当てて首をかしげるガゼル。
熱はあるはあるけど……って俺の事潰しに来たわけじゃないんだ、ただ俺の体調の確認をみんなの前でさせないようにって事か。
「どうせ昨日練習に疲れてそのままシャワーも浴びずに寝たんだろう」
「そ、そうだけど……何でガゼ……風介がこんな事」
「そうだな……何でだろうな、ただ心配だったんじゃないか?」
ただ心配って……。
風介だって練習だってあるのに俺の心配なんかしていいのかな。
とりあえずベットで寝ていろ、と俺に掛け布団をかけてくれた。昔から優しくするのが下手だなぁ。
「薬と何か飲むものを持ってくる。何か食べたいか?……作れる範囲で作るが」
「あ、作るのはいいや、風介自分の料理の出来なささ分かってるでしょ?」
小さい頃ゲテモノを食べさせられた記憶があるしなぁ。
カレーってあんなに黒くなるものだっけ?とか、サラダって洗って切るだけなのに何でこんな出来上がりになるの?とか結構あった。
「料理はいいから……ねえ、こっち来て」
「ああ」
こっちに来た風介の手を取って俺の頬に風介の手を当てる。
やっぱ冷たくて気持ちがいい。
「俺ね、風介の手好きだよ、凄く冷たい」
「冬場は困るがな。そういえばヒロトは昔から私の手が空きだったな」
「うん、小さい頃もよく俺が熱出した時にこうやってくれたよね」
冷たいし……気持ちがいいし、何より安心出来た。
「俺が寝るまで手こうやっててくれる?」
「薬は?」
「起きたら飲むよ。だから側に居て欲しい」
「……しょうがないな」
*リクエストありがとうございました!