9月




高校1年生9月






あっという間に風丸君と過ごした夏休みが終わって学校が始まってしまった。
ずっと風丸君と家で過ごしたいなぁ、と思っても学校は毎日あるもので、俺達は毎朝一緒に登校する。
二学期になると学校行事も一学期と比べて増えてくる。
修学旅行や学園祭、遠足……はあるのかな、それに球技大会に学校企業見学、映画鑑賞。後は……

「体育祭か」
「ああ、体育祭の事すっかり忘れてたや」

そうそう、後体育祭だ。
風丸君がポッツリ呟いてくれたおかげで思い出した。
そうそう、体育祭だよ。……球技大会と体育祭、何でバラバラにするんだろうなぁ。
実は俺、基山ヒロトはサッカー以外のスポーツとかやった事無いのである。
中学はほぼ行ってなかったし、今回高校生になって初めて体育祭というものをする。だからどんなイベント事なのかもイマイチ分からない。

「体育祭ってのは……そうだな、走ったり走ったり走ったりだな」
「忙しいんだね」

走ったり走ったりって、体力どんだけ使うんだろうか。
そんな体育祭を風丸君は大好きだと言う。そういえば風丸君って元陸上部だったね。
でも短距離って言ってたしずっと走りっぱなしは疲れるんじゃないのかな。

「ヒロトは体育祭嫌いなのか?」
「別に嫌いってわけじゃないけど……んー、そうだなあ、やった事が無いって言ったらいいのかな」
「え、マジで?」
「うん、俺ほぼ中学言ってなかったし」

ああ、そうか、って風丸君は頷く。

「じゃあ好きになればいい、俺が好きにさせるから!走るの気持ちが良いぞ?」

風丸君はニッと白い歯を見せて、風になろうぜ、って言って笑った。
風になろうぜ、ってそれ吹雪君の台詞じゃないか。そういえば吹雪君元気かなぁ。













とかなんとか思ってたらあっという間に体育祭。
とりあえず俺は応援団になった。とりあえず1年は体育祭ってのを外観で知って2年になったら参加しようかなって。
……で、応援団なんだよね、俺って。
色々気になって学校のパソコンで色んな学校の体育祭を見てみたんだけど、応援団って普通男子学ランじゃないの……?
何で俺はチアガールの格好をしているんだろうか。
クラスの女の子に、基山君絶対似合うから着てね!って言われて渡されたのがこれ。
風丸君にこの格好を見せたら凄く笑われたし……。でも似合うよって言ってくれた、複雑です。

「基山くーん!次100m走の応援ね!」
「あ、うん!」

確か100m走って風丸君が出るんじゃなかったっけな。
これは一生懸命応援しなくちゃ!

「風丸一位だぞ!」
「頑張ってー!」

たくさんの人がゴールで風丸君の一位を待つ。その中に俺も居る。
一緒に走るのは、元中学陸上界のエースの奴らしい。風丸君は巻けないよね。
パァン、と音がなると一気に走者は走り出す。地面を蹴る音が段々近付いてくる。
風丸君と元エースは抜かし抜かされを繰り返し残り20m。

「風丸君ッ!もう少しだよ!」

俺がそう叫ぶと風丸君は元エースを一瞬で抜き去ってゴールテープを切った。
え?もしかして風丸君一位!?

「風丸君!」

一位でゴールした風丸君に俺やクラスメイトは一気に駆け寄る。

「ヒロト!俺一位になったぞ!」
「うん、見てた!凄く最後格好良かった!」

風丸君はピースをして俺に向かって笑ってくれた。
さすが元陸上部でサッカーで鍛えられてる事だけあるね!
俺が1人で盛り上がっていると背中をポンッと押されて風丸君の胸の中へと。

「……へぁ!?」

俺達が慌てふためいていると、押したクラスメイトが、お前等マジお似合いだな、なんて言って茶化してきた。
基山君今チアガールの格好だし2人ホントお似合い、なんて声も。
お、お似合いだなんてそんな恋人みたいな、そんな、そんな事……。
風丸君の顔を見ると、もの凄く赤くなっていた。風丸君がそんな反応だと俺も凄く恥ずかしくなるじゃないか。

「で、でも風丸君今日凄く格好良かった……よ!」
「え?あ、ひ、ヒロトも凄く今日可愛かったし……う、うん」

俺達は何を言ってるんだろ、とお互いの顔を見合わせて笑った。
結局体育祭は1年12クラス中9位と微妙な順位で終わってしまった。

「来年俺も出るね」
「一緒にリレーでも出るか」
「二人三脚やろうよ!俺あれやりたい!」





俺と彼の高校生活



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