3月



高校1年3月








テストも終わって三年生が居なくなって新しい学年となる準備の三月。
そして四月は


「クラス替えだね」


グッサァとヒロトの俺の胸を突き刺す。
そ、そうだ、新しい学年になるという事はクラスが変わるという事。
と、いう事は俺とヒロトがバラバラ学園生活を送るという事。
なにそれ、なんの冗談。俺は毎日ヒロトと一緒に起きて登校して同じ教室で勉強して下校して寝るというのが幸せなんだ。
それがなくなっちゃうって思うとドッと変な汗をかいた気がした。

「うちの学年って何クラスあるっけ?」
「俺達がK組だろ?……どのくらいだろ」

K組って結構な数だよな。
AからK。A、B、C……11?11クラスか。
って事は最低11分の1の確率だよなぁ。
もしかして今一緒のクラスって結構な奇跡なんじゃないか?

「11クラスくらいあるのに俺達一緒のクラスだったんだね、奇跡みたいだね」
「えっ!?」
「え?俺おかしい事言った?」
「いや、同じ事思ってたって思って」
「俺達通じ合ってるかもね」

そうヒロトは言って恥ずかしそうに両手で顔を隠した。
うわぁああ、カワイイ!
俺ってヒロトの事が好きになってから自重というものをしなくなったかもしれない。
駄目だ、駄目だ。

「いっぱい楽しい事あったよね、この一年」
「なー、一年ってあっという間だったな……」

四月にヒロトに出会って五月に初めてヒロトと出掛けて
六月には一緒に一つの傘に入って帰ったり、七月には二人暮らしを初めて
八月は一緒に花火して九月はヒロトのチアガール姿見て
十月は学園祭で実はヒロトは暗い所が苦手って事が分かって、十一月は一緒にテスト勉強して
十二月はケーキ作りをして年を越して、一月には何と親にヒロトを彼女と間違われ
二月はバレンタインで肩たたき券を貰って。

俺にとってこの一年はとても掛け替えのない毎日で宝物だ。
高校二年生にもなって続くと良いんだけど……。

「なあ、ヒロト」
「んー?」
「来年も一緒のクラスになれたらいいな」
「なれるかなぁ、だって11分の1の確率だもん。でも一緒だったら嬉しいなぁ」

ヒロトは、あ、と声を上げて

「でも一緒に暮らしてるからいつでも一緒だね!」

なんて恥ずかしい台詞を吐いた。
砂糖が口から出そうな程甘くカワイイ声で。

「もうヒロト喋るな」
「えー!?何でー!」
「格好いいしカワイイからだよ!」
「わけがわからないよ」


本当に来年、一緒のクラスになれたらいいんだけど、ね。




俺と彼の高校生活






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