12月




高校1年12月





冬休みに入った。
テストは死ぬ気で頑張った。その理由は冬休みを補修で潰したくない事とヒロトとデートの約束をしていたからだ。
ヒロトも死ぬ気で勉強をしたらしく(ケーキの為に)テストは赤点取らなくて済んで良かった。

「風丸君はどうだったの!?」
「俺も赤点取らなかったよ」

って言ったら凄い喜んで。
凄く俺の為に喜んでくれるのは嬉しいのだが、多分ケーキが食べられるからだろう。
な事を呟いたら、風丸君と一緒だから嬉しいの、なんて聞こえた気がした。空耳じゃないよな、ホントだよな?
という事で俺達は仲良くケーキバイキングをしたわけだ。
ケーキ食うヒロト可愛かったなぁ。

「それどんな味?」

って聞かれて、食う?って聞いたら、ヒロトは口をとんとんと指で叩いて

「あーん」

って口を開けた時には俺はもう頭の中はお祭り騒ぎだったな。
ちゃんと、あーん、してきましたよ。自分の口の横についたクリームを舌でぺろっと舐めた時は……え、エロ、と思ってしまった。



という事で今日はクリスマスです。

「風丸君!ケーキは絶対手作りね!」
「だと言うと思って材料買ってきたぞ」
「チョコだよ?」
「勿論」

やった、とヒロトは飛び上がってソファーへとごろりと転がる。
対面キッチンだからヒロトが嬉しそうにゴロゴロ転がってるのがよく分かる。
さてと、ケーキでも作るか。

とりあえずスポンジから作るか。
って、あれ?……何か忘れてる気がする。
俺は材料を一通り確認していく。ああ、やっぱり大事なものを忘れていた。

「ヒロトー?」
「んー?」

ばたばたしていた足をピタッと止めてこっちに振り向くと、出来たの?って聞いてくる。
いや、そうじゃなくてな……。

「ヒロトお使い頼みたいんだけいいか?」
「何か買い忘れたの?」
「……イチゴ」
「行ってきます!」
「おい、お金!」

俺は財布を渡すと今まで見た事のない早さでヒロトは飛び出していく。
やっぱりケーキにはイチゴが必需品だよな。
どうせイチゴは最後だし今のうちにケーキでも作っておこうか。
ケーキ作るのも久々だな。最後の作ったのは中学生の時だっけか?
とりあえず、スポンジでも作るかー。







「んー、我ながら上手くできたな」

見事なチョコレートケーキ。後はヒロトがイチゴを買ってきて仕上げたら終わりだな。
んー……今の地点でも写真撮っておこうかな。とりあえず携帯を撮ってきてぱしゃり。
携帯で写真を撮ると玄関からばたばたと音が聞こえてくる。お、帰ってきたか。

「ただいま!イチゴ買ってきたよ!」
「ありがとう、ヒロト。イチゴ乗せるか?」
「うん!乗せたい!」

イチゴを水洗いしてへた辺りを包丁でざくっと切る。
ヒロトは嬉しそうにイチゴを並べていく。……この様子も写真に撮って良いかな。
思い出って事で!別に変な事に使うわけじゃないからな!
と決意して俺はイチゴ(メインはヒロトだけど)をぱしゃりと写真に収める。

「何撮ってるの?」
「け、ケーキだよ。さっきイチゴ無しを撮ったから今ありを撮ったんだよ」
「変なの」

変で結構!
でもヒロトはそれ以上詮索しなくて助かった……。

「そうだ!風丸君一緒に撮ろうよ!俺とケーキと一緒に!」
「え?」

そう言うとヒロトはパッパと自分の携帯を取りに行って携帯をセットしてぱしゃりと俺達を撮った。
……俺も最初からそう言えば良かったかな。

「よし、じゃあケーキ食べよう!」
「ああ」

俺はケーキを机に。ヒロトは皿とフォークを机に持ってきてくれる。
ナイフでケーキを切り分けるとヒロトはフォークを嬉しそうに足をばたばたさせる。

「ほら、落ち着けって。はい、ケーキ」
「やった!」
「そんな急がなくても減らないって」
「うん!」

クリームをまたあの時みたいに口の横につけてケーキを食べるヒロト。ああ、ケーキになりたい。

「あ、そうだ」
「ん?」
「来年も宜しくね、風丸君」
「まだ6日ほど早いよ」





俺と彼の高校生活






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