小説 | ナノ







「姉さん!俺……結婚するの」
「ヒロト……?え、何言ってるの?」
「この人と結婚するの、ね?」
「ああ」
















「ヒロト、結婚する人が出来たらまず私に紹介しなさい」

……ちょっと待って。何で姉さんがライオコット島に居るの。
それにおかしいでしょ、何で結婚話になってるの?
どうしてこうなった。

「姉さんどうしたの?」
「いいわ、どうしても結婚すると言うなら私が結婚相手を決めるわ。みんなを食堂に連れてらっしゃい」

話も聞いてくれない程暴走してるのか……。
そういえばだけど、小さい頃の記憶だから曖昧なんだけど……。
姉さんは大人しくて品がある女性だったのを覚えている。
お嬢様って言うか、吉良という名前に恥じないよう振る舞っている感じだった。
だけど、ある日父さんと喧嘩した時凄くビックリした。
人の話も聞かないで……うん、思い出したらゾッとしたよ、とりあえず凄かった。

「ヒロト、みんなを集めたわよ、こっち来なさい!」

って、連れてらっしゃいって言ってたのに自分で集めちゃったよ。
こうなったら誰にも止められないなぁ。







「みんな集まったわね」
「何で瞳子監督が?」

円堂君が訳の分からない、っていう顔をしている。
そりゃそうだ、俺にも分からないもん。姉さんの考えてる事。

「今日私は凄く嫌な夢を見たわ。どこの誰だか知らない人の元へ嫁に行くヒロトの夢を」
「……は?」

姉さん……?嫁?
何を言ってるんだ。そんな夢が正夢になるわけ……あ。

「私はイナズマジャパン以外の人をヒロトの旦那さんへと認めたくありません。と、いう事で今から貴方たちがヒロトに相応しいか診査します」




……やめてくれ。









「んー、佐久間君……良いと思うのだけれど、貴方は鬼道君が絡むと大変だから駄目ね」
「豪炎寺君も夕香ちゃんで色々大変な感じになりそうね」
「円堂君……のお嫁さんはサッカーボールだものね」

姉さんは1人1人診査して行く。
もー恥ずかしいからやめて欲しいんだけどなぁ。

「姉さんやめてよ、俺にはもう」
「ヒロトは黙っていてちょうだい、もうすぐで終わるから」

強制結婚みたいな感じになるのかな。
っていうか俺男だよ。

「風丸君ね、そうねぇ……悪い所は何も無いわね。ちゃんとヒロトの事養って行けそうな感じも……」
「姉さん、俺の話聞いてくれる?」

もういいかな。いずれ言う事だったけど。
俺は風丸君の隣に立ってキュッと風丸君の手を握った。

「姉さんに紹介しよう、紹介しようって思ってたんだけどね。俺と風丸君実は付き合ってるの」
「……え?」

風丸君は、えっと声に出して俺を見た。
うん、今言っちゃうね。

「俺は姉さんの決めた人と結婚はしないよ、するなら自分で決める」
「……ヒロト」
「俺は風丸君が好きなの、姉さんが俺に一生懸命なのは嬉しいけど……これだけは譲れないんだ」
「そう……」

俺がそう言うと姉さんはクルッと俺達に背を向けて食堂から出て行こうとしていた。

「姉さん!」
「……ヒロト、見ない間に成長したのね、私が居ないと駄目だと思っていた。でもヒロトも一人前ね……」

小さい頃から姉さんっ子だった俺。
姉さん待って、待ってと追いかけて、姉さんが好きなの俺も好きだった。
食べ物、色、おもちゃ、遊び。全部全部。
だけど、俺にも俺だけ、俺だけが好きな人が出来たの。

「姉さん、子供産まれたから姉さんに一番最初に見せたい!俺達の子供……」
「ヒロト……幸せになりなさい」
「ありがとう、姉さん」

嬉しくて嬉しくて涙が溢れた。
俺の事をこんなに思ってくれるなんて。
そんな俺の肩を風丸君は優しく抱いてくれた。
俺、風丸君となら幸せな一生を迎えられるよ。




ありがとう、姉さん。















「なあ、鬼道」
「どうした、円堂」
「何か全体的におかしい気がする」
「言うな、スルーしろ」

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