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円堂君

鬼道君

豪炎寺君
 
吹雪君

そして俺風丸君。


何でヒロトはみんな上の名前で君付けなんだろうな。
緑川だけは君が無かったな、そういえば。

俺は仮にも恋人だろ!?
俺の事も風丸って呼んでもいいはずだ。
ヒロトの透き通るような綺麗な声で「風丸」

……うん、違和感しか無い。
やっぱり君が無いとしっくり来ないなぁ。



「風丸君!」
「どうしたヒロト」
「あのね、今日ね!」


ヒロトはニコニコしながら俺に今日あった事を話す。
ホントこいつ可愛いよなぁ。髪の毛の横にある耳みたいなのがピョコピョコ動いてたりもする。
この前触ったらとても気持ちよさそうな顔してたし。


「そしたらね、今日晴矢と風介からメールがあってね」
「……あぁ」


どうしてだよ。
何でいつもあの二人は下の名前で呼ぶんだよ。
俺の事も呼んでくれたっていいのに。


「風丸君?」
「なあ、ヒロト、何で二人は下の名前で呼んでるんだ?」
「何でって……幼なじみっていうか、子供の時から一緒だし」


そういえばヒロトと南雲、涼野は同じお日様園で育ったとかなんとか言ってた気が。
そりゃ小さな頃から苗字呼びな子供は……なんか可愛くないよなぁ。
あだ名とかで呼び合ったりとかしたんだろうな。
あーぁ、俺ももっと早くヒロトと出会ってたら良かった。
それだったら下の名前で呼んでくれたのかもしれないし。


「もしかして風丸君……下の名前で呼んで欲しかった?」
「うん」
「随分ハッキリだね」


そう言ってヒロトは苦笑した。
ここで引き下がったら呼んでくれないのかもしれないし。


「呼んでくれるのか?」
「え……あ……」


ヒロトは手を前にやってモジモジし始める。
恥ずかしいのか?
恥ずかしがってるヒロトも可愛いなぁ。


「基山」
「え?」
「ヒロトじゃなくて、基山って呼んだ。だからヒロトも呼んでよ」
「……ずるい」


ヒロトは口を開けたり閉じたりで途惑ってる。
どうしよう、俺別にSな性格じゃないけどヒロトを虐めるのは凄く楽しい。
特に困ってる顔を見るのが何とも言えない。


「い、い……いッ……」
「うん」
「いち……ろッ、い……いぃい……」




「い、いち、いち君!」
「……へ?」
「あ!いや、あの!その……ッ!」



いち君って。随分懐かしいあだ名だなぁ。
そういえば小学生くらいの時呼ばれてたかも。
……まぁヒロトにしちゃ頑張った方かな?


「無理させてゴメンな、ヒロト」
「ううん、俺も恥ずかしがってゴメンね。急に下の名前で呼ぶって考えたら緊張しちゃって」
「いや、でもいち君ってのも良かったな」
「じゃあこれから、いち君って呼んで良い?」
「と、時々な!」




毎回顔を真っ赤にしながら、いち君って呼ばれたら恥ずかしくて俺倒れそうだ。

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