小説 | ナノ


広い広い世界の中には学校がある。数学や国語を学ぶよく聞く学校ではなく、少し不思議な学校である。
その学校に通い学び就職することが一番のエリートといわれている。
そんな学校も今年で創立1700年、今日も平和だ。

「ヒロ君、またサボリ?」

木の陰で寝ている一人の少年ににこにこと笑いながら少年と同い年の少年が近づく。
人の好さそうな顔をした少年はずり落ちそうになる大き目の眼鏡を抑えながら寝ている少年の横に座る。

「カレンが怒ってたよ。また治癒学サボってるって」
「別に授業でなくても自然治癒出来るし」
「それは自分だけでしょ?人の事も癒す勉強してよね。イオとか毎日超ケガしてんじゃん」
「はぁ」

ね、と圧力をかけられる。眠っていた少年は起き上がり自分の眠っていた草原のベッドと同じ色の髪をなでた。
眠くなくても眠くても変わらない目は遠くを見つめてぼーっとしている。

「コーセイもさ、時々は息抜きしないと絶対疲れっからな」
「ヒロ君は休みすぎだよ。僕そんな真面目じゃないからね。結構サボってるから」

へへへ、とコーセイと呼ばれた眼鏡の少年は人差し指で空中に何か文字をはじめる。
すると、草と木しかなかったこの場に赤、黄、青色、様々な色の花が咲き乱れる。
ふわりと風に舞った花びらを一つ手に取り

「昨日の薬学の授業暇だったからさ、オリジナルの花を作ってみたんだ、どう?」
「なるほど、息抜き、ね」

ヒロ君と呼ばれた少年は吹く風に髪をなびかせながら居心地がいいという風に笑う。

「課題終わっちゃって、暇なんだ。最近創作造花にハマってて」
「ふぅん、……俺は最近ここで風を吹かせてばっかだな」
「ヒロ君の風の魔法得意だもんね」
「いや、うん、それはそうなんだけど、最近ここの風の音が変っていうか」
「変?音?」「あーうん、音っていうか俺しかここにいないはずなのにもう一人の俺の魔力があるっていうか」
「うわぁ……こわ、ホラー苦手なんだけど。魔法使えるお化けとかいるのかな」


魔法、それは大昔に神が選んだ人間のみに与えられた力を言われている。
魔力を持った子供が通う学校、それがこのソルセルリー魔法学園だ。
一般市民に一切の情報を漏らさず静かに時を刻んでいる。

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