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風丸君は俺の身なりを整えるのが好きらしい。
髪の毛をよく触って枝毛が無いかチェックとかしてくれる。枝毛を見つけた時には凄い形相でハサミを取りに行って切ってくれる。
おかげで俺の髪の毛には枝毛はほぼ無い、有り難いね。

唇がかさかさな時はリップクリームも塗ってくれる。
冬は切れたら痛いだろ?って言って。
いつもポケットに入っててすぐに取り出せれるんだって。

手がかさかさな時も同様に。
俺って乾燥肌なんだって。風丸君に言われて初めて気付いた。

それによく爪の手入れもしてくれる。
爪切りで丁度良い長さにしてヤスリで削って形を整えてくれるの。
おかげで俺の爪は誰かを傷つける事もない。


「なあ、ヒロト爪塗っていい?」
「爪?」
「ああ、マニキュアってやつだな」
「うん、別にいいよ」


時々俺の顔を使ってお化粧をほんのりする事もあったから俺は別にいっかと思い承諾した。
風丸君は別にそっちの道に進む気は無いらしいけど、結構器用らしく上手いんだ。
風丸君は、モデルがいいからだな、と言うけど風丸君の腕が良いからだよねって思う。
ガタガタと部屋の奥の方から赤色やピンクやたくさんのマニキュアが俺の前へ並べられる。


「どの色がいい?」
「そうだなぁ、あ、水色がいいかな」
「これ?結構派手だぞ」
「うん、水色って風丸君の色でしょ?」


俺がそう言うと、ボッと風丸君は顔を真っ赤にした。
ぱっと視線を爪に移したら風丸君の色が目に入るって嬉しいよね。
綺麗に風丸君は塗っていく。ホント器用だなー。


「よし、完成。後は乾かすだけだからな」
「時間結構かかる?」
「まぁな。ビッてやるなよ?せっかく塗ったんだからな」
「大丈夫大丈夫」


大丈夫大丈夫言ってる奴が一番危ないんだよ、と風丸君がぶつぶつ言ってる。
大丈夫だよ、ホントホント!
風丸君は信じてないみたいで、俺の手を心配そうに見つめて……。もー。


「じゃあさ、風丸君も手かしなよ」
「手?」
「俺も塗るの。風丸君は赤色ね!」
「……ヒロト色か?」
「……うん」




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テーマ「人外ファンタジー」
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