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……携帯を購入してしまった。
買ったっていうか、買って貰ったのを送ってもらったって言った方が正しいかな。
携帯持って無くて連絡の取りようがない、と気付いた姉さんが日本からライオコット島に送ってくれた。

だけど……使い方が分からない。

パソコンは扱えるんだけど、携帯となると全く分からない。
まずキーボードが付いて無くて焦った。何で折りたたむのかも分からないし。
電源スイッチは何処?横に無いんだけど。って円堂君に聞いたら、ここのボタンを長押しって言われた。な、長押し……!?

それに、携帯のトップって言ったらいいのかな。そこにアイコンもないし……。
どうなってるんだ、これは。不良品なのかな。
俺は分からなくなって風丸君に聞きに行く事にした。

「携帯の使い方が分からない?」
「うん、パソコンなら分かるんだけど……携帯はサッパリ」

風丸君は意外だな、って言って俺の手からするりと携帯を取った。
俺だって分からないものはあるもん。
俺の携帯をパッパパパと弄って画面を展開させていく。か、彼は何をやっているんだ。

どうやら俺の携帯の機種は英雄というのらしい。
何か有名アイドルがCMをやったりしているらしい。らしいっていうのは俺が知らないからだ。テレビなんてほぼ見ないし、サッカーばっかりしてるしね。
簡単にメールや電話の仕方を教えて貰った。
ここのボタンを押すとアドレス帳が出るから、とか、ここはメール。キーボードじゃないから馴れろよ、とか。

「試しに俺に送ってみるか」
「でも俺知らないよ?風丸君のアドレス」
「そうか、じゃあ……」

風丸君は俺の手を包み込むように上から手を重ねて携帯を弄っていく。ち、近い!
そして、赤外線受信をいうのを選んで、ちょっと待ってろよ、と言って自分の携帯を弄り始めた。

「え?な、何か来たよ?」
「真ん中のボタン押して」
「う、うん」

言われた通りに押してみると、NO.000に風丸一郎太を登録しました、と表示された。
000って事は一番最初って事?

「風丸君……俺の初めての人だね」
「へ、変な言い方するなよな」
「じゃあ送ってみるね」

馴れない手つきで携帯でメールを作る。
短文なのに結構こんなに大変だとは。やっぱり俺はパソコン派かなぁ。

「送ったよ!」
「おお」

風丸君の携帯がぶぶぶと震える。バイブだ。
風丸君は俺からのメールを確認すると顔が真っ赤になった。そんなすぐ顔に出さないでよ、俺だって恥ずかしいんだってば。

「ヒロト……」
「ん?」
「直接言えよなぁ」
「ゴメンね、何送ろうかなって思ったらこれが出てきたから」

はぁと風丸君はため息をついた。でも顔は凄く緩んでいて嬉しそうだ。

「俺も好きだぞ」







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