「可愛え」
「ありがとう」
「世界で一番可愛えんとちゃうかな」
「ありがとう」
「アアーン、エクスタシいいいいいいい」
うるせえよ



これが廊下での会話。
前のチャイムが鳴り終わって、次のチャイムが鳴り始めるまでの短い時間。



「ブス」「調子乗んな」「白石君から離れろ」「釣りあってない」
「・・・・・。」


これが教室での会話。
いや、会話というか・・・・私のノートや机に寄せられる熱烈すぎるファンレター。


王子様みたいなイケメンに好かれる凡人なんてお伽噺かと思ってた。
それが理由でこんなお便りを貰うのは漫画だけだと思ってた。
まさか現実にあるとは・・・・


とにかくもう慣れた私は常備してる濡れタオルで机を拭き始めた。
・・・・が、おかしい。
いつもなら2,3回拭けば落ちるはずの文字が消えない。

心当たりのある集団に目を向ければくすくす笑いながらマッキーを持ってる。
ちっ、あいつら油性で書きやがったな。


「はあ・・・・」


仕方がないので、その日の授業は教科書で机を覆いながら受けた。




「可愛え」
「ありがとう」
「ほんま可愛えでキスしたる」
「ありがとう」
「ついでに学ランのボタン閉めてくれへん?」
何がついでだこの変態


・・・・・・あ、今後ろでものすんごい殺意感じた。
どうしよう、また弁当にボンドとか入れられたら。
本当に勘弁してほしいなあ。


私が望んでもいない妬みや憎まれを一身に受けているのは全て白石君のせい。
白石君は私に「可愛い」って言うだけ。
私の日々増える痣とか傷には触れない。後ろからの殺気にも気づかない。



キーンコーンカーン・・・・



「ああ、チャイムが鳴ってもうたな。ほなまた」
「うん、また」


私はまた適当に手を振って、一人憎しみの中に飛び込んだ。



教室には予想通りのお出迎え。
新しい痣が腕に仲間入りした。


ちらっと向こうを見ると、かつては「いつめん」とか言ってつるんでた7人がしかめっ面でこっちを見てた。
私と目が合うと面白いくらい同じタイミングで顔をそらしたけど。
あの子たちも最初は助ける素振りを見せてくれたなあとかどうでもいいことを考えて


そのまま、誰かの手に首を掴まれて視界が失せた。







―――・・・・


ああ、可愛い姫さん。
俺のキスで目を醒まさせてあげるからな?
俺の傍におればええんや。

友達の助けなんかいらんやろ?
あいつらは所詮睨まれた蛙や。
俺がおるやろ。


もっとボロボロになりや。
俺だけを望んで求めて祈ってや。


俺がお前をこんなトコから連れ出してやるから・・・・
なあ?


お前に会いに行くまでが至福の時間。今登ってるこれはシアワセの階段。


・・・・ああ、着いたで。



登りきった俺はゆっくりとドアを開けた。






白い雪のプリンセスは
(見つけたで。)


あとがき

恋する王子様。に提出!
ちょっと意味が分からない(´・ω・`)((自分で書いたのに

2012.03.31

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