よしよし、いい子。そう言ってあの子はオレの頭を撫でてくれる。よしてくれよ。オレなんかに触れるなよ。オレは汚いんだ、お前なんかが触れたらその綺麗な手が腐ってしまうんだ。だから、よしてくれ

お前は素敵だよ。言葉ではうまく表現できないけれど、きっと汚れていないんだ。その証拠にこんなに白くて、一つの染みも見えない。綺麗過ぎてオレの目には映らないんだ。眩しくて目を細めれば細めるほど消えて無くなりそうなんだ

よしよし、いい子。そう言ってあの子はオレの頭を撫でてくれる。よしてくれよ。オレはそんなにいい奴なんかではない。何事にも怯えて意固地になりながら目を伏せる。そんな臆病者なんだ。卑怯者なんだ。だからそんな慰めの言葉はよしてくれよ

でもお前の小さな手は温かい。冷えきった体を癒やしてくれる。その手は一体いくつの人間に優しさを与えてきたのか。その繊細な声色に一体いくつ助けられたのか。きっと計り知れないくらいなのだろう

お前の心は寛大だ。それはとてつもなく広い感性の持ち主だと誰でも分かる。何事も許してしまうお前を見ているとオレはたちまち苛立ちを覚えてしまうんだ。ああ、なんてお前は馬鹿なんだって。つまりそれは広い心を持つお前の隣に並ぶと、嫌でもちっぽけな自分が惨めに思えてしまうからなんだ

だが、オレはお前の全ての真似をしたいだなんて思わない。もちろんオレはお前にはなれないし、お前もオレにはなれないからだ。だが、お前のその生きる術を学びたいとは思っている

よしよし、いい子。そう言ってあの子はオレの頭を撫でてくれる。よしてくれよ。お前がオレを助けてどうするんだよ。本当はそうやって膝を抱えて泣いているんだろう。要求ばかりの声にうんざりしているんだろう。もう見るに耐えないんだ。今度はオレがお前を救い出す番だ。オレの汚い手ではその涙を拭えないが、せめてお前がしてくれたように頭を優しく撫でさせてくれないか

やさしいとど



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