はっきりいうと、カカシは背負う物が多すぎると思う。なんでもかんでも自分より他人を優先して自分の身体も省みずに傷をつけるカカシに私は馬鹿なんじゃないの、と叱咤したことが一度だけあった。その時もカカシは緩い笑みを零してそうかもね、なんて口にするものだから私は何も言えなかったのを覚えてる。でもね、あのとき、カカシが悲しそうに笑ったの。ずるい私はそれに気付かないふりをした。あなたを受け止めきれないから、無視をした。私も大馬鹿者だと自分がみじめで恥ずかしくなった。頭が良いカカシはきっと私の思っている事を察したから、何も言わないまま笑みを零したんだ。カカシはどこまで優しいんだ。だから、私みたいなずるい人間に捕まって振り回されてしまうんだ。


(あなたは、優しすぎる)


一体どれくらいの重りをあなたの背中に乗せているの?少し曲がった背中を見て、私は悲しいよ。必死に耐えてるあなたを見て、私は悔しいよ。もっとカカシには自分のために生きて欲しい。誰かの為に生きるとか、そんなのではなくて、自分の足で行きたい場所に行けるような自由を与えてあげたい。だから、私は少しでもカカシの背中が軽くなる為にそこから下りたんだ。私は一人でも生きていける。まずは、私が自分の足で歩いてみせるから、カカシもしっかり自分の足で大地を踏みしめて生を感じて。



やさしかった、生きていける

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