ずっとそばにいるから
ずっとあいしているから
私の全てはあなただけ

ねえ、なのにどうして信じてくれないの?


この男にとって私はすごく億劫な存在であろう。険しい表情をする自分とは反対にひどく綺麗に笑う目の前のはたけカカシが憎い。それと同時にぐるぐる腹の中をうごめく汚い言葉が気持ち悪くて吐きそうだった。

「私は平気なの、あなたの全てを知っても」

だから、お願い

無理矢理押し倒した私の力に抵抗するわけでもなくカカシはゆっくり微笑んだ。私は知っている。その笑顔の裏には悲観、執着、悔恨、絶望があるってことを。それを私に言わないのは私を信じていないから。心から愛していないから。

「ねえ、カカシ。お願いだから」

ぽたり、一粒の生温かい水がカカシの頬に落ちた。涙で頬に張り付いた私の長い髪を掻き分ける大きな手のひらが頬に触れる。嗚呼、あたたかい。

「ごめんね。お前を苦しめたくないんだ」

そんな言葉いらない。私が鬱陶しいからそんな事を言うんでしょう?あなたは私の全てなのに。あなたは私が全てではないのね。でもね、その冷たい嘘が私を一番苦しめているんだよ。

「…っねぇ、カカシの全てになるにはどうすればいいのっ、」

カカシの首筋に顔をうずめて縋るように問い詰める。無意識に固く握りしめた彼の服にはきっとぐしゃぐしゃに皺が出来ているであろう。引き離そうともせずに抱きかかえるこの温もりが悲しくて嬉しくて。感情の矛盾が嗚呼、鬱陶しい。

「もうなっているよ」

ねえ、もしかしたら信じられないのは私の方かもしれない。ちゃんと愛しているはずなのに分からないよ。しがみつくこの自分の手は何?馬鹿みたいに目から流れる汚い水は何なの?


あなたはぜんぶしっている
あなたはぜんぶみすかしている


それなのに言わないのは愛していないから。

偏ってく愛情

どれだけ好きだとか愛してるとか言い並べても、届かないもの。もう、俺にはどうすればいいか分かんないよ。

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