鬱蒼とした暗い森を駆け抜けているなか、布越しの頬を切る風が、氷のように冷たくて痛みを感じた。

背後に続く二人の部下に目をやれば、オレと同様にして冷たい夜気に耐えながら白い息を吐く様子が窺えた。二人の顔は疲労も相まってか、苦悶の表情を浮かべている。
ーーそろそろ休憩を取った方がいいかもな。先頭を切って走る、隊長でもあるオレは、徐々に走るスピードを落としながら休める場所はないだろうかと辺りを見渡した。

しばらく眼下に広がる森を駆け抜けながら休憩場を探していると、木々が生い茂り、身を潜めるには打ってつけの場所を見つけた。ここにしよう。木の枝を蹴って降りると、とん、と小さな足音を立てて地面へと着地した。部下の二人もオレに続き、着地する。よほど疲弊していたのか、二人は膝に手を当てて乱れた呼吸を整えていた。

「しばらくここで休憩しよう」

その言葉を合図に、部下達は一斉にして落ち葉が重なり合う地面へと腰を落とした。

「このペースなら早く着きそうですね」

一人の部下が明るい口調でオレに話し掛けた。オレは地面には座らず「ああ」と頷くと、辺りを見渡し警戒する。…どうやらオレたち以外の気配はなさそうだ。ほっと息を吐くと部下の隣へ静かに腰を落とした。

「この寒さだと、さすがに隊長でも辛いですよね」

白い息を両手に吹きかけながら声を掛ける部下にオレは頷いた。

「ああ、さすがにね」

笑い掛けると部下も「そうですよね」と笑い返した。いくら忍といえどオレたちだって生身の人間だ。寒いものは寒い。悴んだ指先を丸めながら空を見上げると、繁茂する木々の隙間から覗かせた夜空には星屑が散らばっていた。冬の澄んだ空気もあって、星空がいつも以上に輝いて見える。

ホント、今日は一段と冷えた寒い日だ。

今回の任務は他国での偵察だった。しばらくの間、里を離れることになったオレは、正直に言えばチフユの顔を見ずに済んで良かったと内心ほっとしていた。
ホントは隣室に住むチフユの微かな気配でさえ心掻き乱されて仕方なかった。チフユがオレを拒む理由は依然として分からないまま。ただ単にオレを疎ましく思ったのか、それとも何か別の、ちゃんとした理由があってオレを遠ざけているのか。どちらにせよ、チフユがオレを避けるのだから、知ることはもちろん聞くことも出来ない。

すん、と息を吸うと、先程にはなかった自分達以外の匂いが鼻を掠めた。いつのまに風向きが変わったのだろうか。オレは急いで部下に立ち上がるよう指示をすると、体制を整えて近付いてくる気配の方向にクナイを向けた。

ーー遅かったか。

ジリジリと近付く敵から逃げることも出来ず、あっという間に周囲を囲まれてしまった。部下二人と背中を合わせて先程よりも距離を詰めた敵を睨みつける。

恐らく敵はオレたちと同様、三人。

劣勢の中でオレはなんとか敵の一人にクナイを投げ打つと、悲鳴を聞く間もないまま鈍い音を立てて敵が倒れた。…あと二人。敵の一人が印を結ぶのが見えて部下の一人が阻止しようと先にクナイを投げ打つ。しかし避けられてしまい、敵が襲い掛かってきた。マズい。オレは咄嗟に雷切を発動した。地面を蹴り上げて相手の懐に飛び込みと肉を裂く感覚が右手に伝わった。血で染まった手を引き抜くと、敵はドサリと膝から崩れ落ちて朽ち果てた。…これで二人。残すはあと一人。

「すみません…隊長」

背後で腰を抜かしながら震えた声で詫びる部下にオレは「それよりも敵に集中して」と強く咎める。もう一人の部下に目をやれば、敵に刀の切っ先を喉元に突き付けられていた。それを見てツーと冷や汗が背中に流れる。
ーー仲間が殺されてしまう。スッと音もなく刀を振り上げられたのを見て、オレは瞬身の術を使い敵の目の前に現れた。

刀が振り下ろされた直後、肩から胸にかけて熱が走り咄嗟に自身の胸に手を当てた。右手を見れば、雷切で貫いた敵の血と自身の血が混ざり合っていた。切られた。自覚した途端、一気に痛みを感じた。流れる血がとても熱い。

「…ぐっ……!」
「隊長!!」

オレの名が呼ばれたと同時にグサリと鈍い音が聞こえ、目の前の敵が倒れた。クナイが背中に刺さり、悶え苦しみながら地面を這う敵の後ろには額に汗を浮かべた部下が立っていた。恐らく部下がクナイを投げ打ったのだろう。ほっと安堵の息を吐いてオレは倒れた。土の匂い。鉄の匂い。嗅ぎ慣れたはずなのに吐き気がする。違う。血を流し過ぎたから気持ち悪いのだ。

「隊長…!!」

もう一度、部下がオレの名を呼んだ。どうにか返事をすると目に涙を溜めてオレを見る二人の部下が見えた。すみませんと謝る部下に「隊長が部下の命を守るのは当たり前でしょ」と声になっていないであろう言葉を吐く。
「起こします」と、一人の部下がオレの体を起こすと傷が空気に触れてさらに痛みが走り、思わず顔を歪めた。

「一旦、里に戻ります」

言いながら部下は肩にオレの腕を回して来た道を引き返した。意識が朦朧とするなか窺えたのは満天に輝く星空だった。自室のベランダで見る景色よりも美しい星空を見て、チフユにも見せてやりたかったなと、こんな時にもチフユの顔を思い浮かべてしまう自分に苦笑する。

最後にチフユの笑顔を見たのはいつだっただろう。かなり遠い昔のように感じたオレは、もう一度チフユの笑顔を見たかったなと悔やみ、意識を手離した。


***


目を開けると、最初に視界に映ったのは白い天井だった。消毒薬の独特な匂いがオレの鼻腔を刺激して思わず顔をしかめる。

見覚えのある色、嗅いだことのある匂い。

一瞬にしてここが病院なのだと理解出来た。いつから寝ていたのだろう。起き上がろうとするが、肩から胸にかけて痛みが走り思うように体を動かせない。諦めて体を戻すと視線を窓に向けた。

換気のために少しだけ開いた小窓からは風が入り込む。肌寒いと感じてもこんな不自由な体では窓を閉めることすらできない。

…結局、任務は遂行できなかった。部下達はここまでオレを運んでくれたが、今頃どうしているだろうか。

ルールを守らない奴はクズだ。かつてのオレだったらきっとこう口にしただろう。しかし任務よりもオレを助けてくれた部下達に感謝しきれなかった。

まさか回り回って自分に返ってくるなんて、ね。

『ルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる。けどな、仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ』

なあ、オビト。お前があの日に言ってくれた言葉は間違っていなかった。オレはこうしてまた誰かに助けられて、生きている。やはり、オレはお前の言葉を一生背負おうと思う。そしてこの先に出会うであろう未来の担い手達にお前の教えを伝えていこうと思う。

ふっと笑うと、柔らかな風が吹いて、カーテンを揺らした。

コンコン、戸をノックする音が部屋に響き「はい」と返事をするとゆっくり戸を引く音が聞こえた。複数の足音が耳に入り、訪れた人数は二人だと考察する。案の定、ベッドを囲むように引かれたカーテンがサッと開かれると見知った二人の顔が現れた。

「よお」
「…アスマと紅」

二人は心配そうにオレの顔を覗き込むと、「大丈夫か?」と声を掛けた。オレは頷いて二人を見る。アスマの手には果物が入った袋があった。

「これ手土産」
「…ありがとう」

礼を言うとアスマは袋をサイドテーブルに置いた。「寝たままで悪いね」そう口にすると、アスマは「気にするな」と大きく笑った。アスマの隣にいる紅もオレの顔を見て安心したのか、ほっとしたように笑みを向けている。

「お前をここまで連れてきた部下達にもお前が目を開けたって伝えておくからな」

オレの心残りに感じていたことを察したのかアスマは「だからお前は心配しないでおとなしく寝てろ」と言い放った。その口元にはいつもの煙草がない。そういえば、ここは病院だったか、と気付く。
アスマはぶっきらぼうで口こそ悪いが、根は誰よりも優しい。仲間思いの気持ちはオレなんかよりも遥か上だと思う。今のように相手の気持ちを汲んで行動できるアスマを羨ましく思う自分がいた。

「けど珍しいな。カカシが任務を失敗するなんて」

不躾なアスマの言葉に小さく「アスマ」と制する紅の声が聞こえた。返す言葉が見つからないオレは黙り込んでしまう。

「もしかしてお前、チフユに気を取られていたんじゃねえか?最近のお前らの様子変だったし」

否定しようと口を開いたが、思い当たる節があったので開きかけた唇は噤んでしまった。そんなオレを見兼ねたようにアスマが盛大に溜め息を吐く。

「仕方ねぇな。オレらがなんとかしてやるよ」
「え、いいよ」

咄嗟に断ると、「そんなこと言わずにオレらに任せろ」と自信満々な笑みを向けた。紅ならアスマを止めてくれるだろう。そう思ったオレは助けを求めるように紅を見る。しかし紅は視線をアスマに移すと「そうね」と微笑みながら頷いた。

「…お前ら、ホントやめて」
「私もあなた達に思うところはあったの。だから私達が背中を押してあげるわ」
「ちょっと「じゃあ、また来るわね」

そう言って、二人は手を振ると病室を後にした。アスマならともかく紅までどうしちゃったの。不安を吐き出すように溜息を零すと、オレは目を閉じた。

先程の会話の影響か、瞼の裏側にはチフユの顔が浮かんだ。こんな状況でもチフユに会いたいだの話したいだの懲りなく思う自分に、苦い感情が胸に広がってしまう。
体の傷は変わらず痛い。いや、痛みを感じるのは体だけではい。チフユへの想いがオレの心をじわじわと蝕み、侵されてゆく。
オレはもう二度とチフユの顔を思い出さぬよう、先程よりもぎゅっと固く目を瞑ると、無理やり眠りについた。


『カカシ』


ふと遠くで彼女の声が聞こえた気がした。柔く、春の日差しのような温かい声を耳にすれば何度も胸焦がれた彼女がすぐ近くにいるような気がして。

…チフユの声がするということは、ここはアパートの自室だろうか。窓から吹き込む乾いた風が髪を揺らし、攫ってゆく。湿り気のない空気を肌で感じると今日は晴れだろうと推測した。
だとするとチフユは、また鼻歌でも口ずさみながらベランダで洗濯物でも干しているのかな。機嫌よく笑うチフユの横顔を想像すれば、自然に自分の心が綻ぶように温かくなった気がした。
同時に冷えた右手もじわりと温かくなる感覚を感じた。柔らかな手の感触にチフユに手を繋がれているのだな、と思った。けど、その右手は何人もの人を殺めた右手。血で濡れた自分の手を触れてしまえば彼女の手を汚すことになるだろう。よしてくれと手を振り払おうとするが、力が入らない。どうしようかと悩んでいる間も、頭上からはまたあの声が降り注いだ。

『私、カカシが好き』

オレを、好き?まさかそんなことあるわけない。だってお前はオレを拒んでいたじゃないか。繋がれた手の力が緩み、チフユの手が離れようとする。さっきまで振り払おうとしていた手なのに離れてゆくと分かると無性に寂しくなった。オレは行かないでと咄嗟に握り返した。小さく反応する手は再び手を握り返される。安堵の息を吐いて重い瞼をそっと開いてみる。朝霧に包まれたようなぼんやりとした視界のなかで映されたのはさっきまで夢と現実の狭間で見ていた彼女の顔だったーー

「チフユ?」

オレが発した声は、ひどく掠れた声だった。一体、どれくらい寝ていたのだろう。ここは自室ではなく病室だ。確かアスマと紅が見舞いに来て、それで、

考えに耽る間、心配そうにオレの顔を覗き込むチフユの顔を見てはっとする。そういえば何故チフユがここに?
疑問を抱いて体を起こそうとベッドに手をついて力を入れるが、肩から胸にかけて刺す痛みに耐えられずバランスを崩した。慌てたチフユが咄嗟にオレの背中を支える。背中越しからチフユの手の温もりを感じてチフユがここにいる実感がようやく湧いた。
ふと視線を落とすとチフユの膝から血が流れていることに気付く。破れたストッキングの間から覗かせた肌色がやけに艶かしく見えて目のやり場に困ったオレは手元を見た。チフユと繋がれていた手はいつのまにか離れていて、少しだけ寂しさを感じたオレは紛らわすように軽く手を組んだ。

「カカシ、大丈夫なの?」
「…オレは大丈夫だよ。お前は大丈夫なの?」

オレの安否を気遣うチフユと目を合わせず「膝」と付け足すとチフユはようやく怪我に気付いたのか、はっとした顔をして自身の膝に視線を向けた。
今さら気付いたの?チフユは「痛いかも」と言いながら苦笑いを浮かべてオレに顔を向ける。久しぶりにチフユの笑顔を見たオレは嬉しさと懐かしい気持ちが胸に込み上げた。落ち着かせるために息を吐き「本当ドジだね。チフユ」とからかうとチフユは恥ずかしげに笑った。ああ、チフユがオレに笑い掛けている。ホントに嬉しい。

「とりあえずこれで止血したほうがいい」

オレはサイドテーブルの上に置かれたポーチを手に取り留め具を外すと、中から止血用のガーゼを取り出した。「はい」と、チフユに渡すとチフユは眉を潜めてしばらくガーゼを持つ手をじっと見つめた。心なしかチフユの目が潤んでいる気がする。え、オレ何かした?心配になり、声を掛けようとしたが先に口を開いたのはチフユだった。

「…死んじゃうのかと思った」

ポツリと呟いたチフユの声は震えていた。

「オレが?」

聞き返すとチフユは小さく頷いて下を向き、俯いてしまった。

「…だって紅もアスマも今にもカカシが死んでしまいそうに言ったから」
「あの二人がね…」

オレの頭にはアスマと紅の顔が浮かんだ。大方、チフユに何か大袈裟なことを吹き込んだのだろう。まったく、チフユに無駄な心配をかけさせて。…アイツら今度会ったら許さない。

「でも、本当に良かった。カカシが生きていて」

吐かれた言葉と同時にチフユは突然、オレに抱きついてきた。

「ちょ、チフユ」

咄嗟に引き離そうとするが、抵抗すればするほどオレを抱き締める腕の力が強くなってゆく。…オレ、一応、怪我人なんだけど。ポツリと悪態を心の中で呟いてみるが、チフユに抱きしめられていることに嬉しくなってしまう自分がいて。喜ぶ反面、チフユへの好きを諦めたオレにとって今の現状は複雑な気持ちだった。
駄目だ、このままだとオレはーー

「いい加減「私、カカシが好き」

オレの言葉を遮りチフユが放った言葉は耳を疑うものだった。チフユは体を離すと、真っ直ぐオレを見つめた。いつも暗がりで見ていた瞳は、今日は日差しが入り込む明るい場所で見ているためか、ガラス玉のように澄んで見える。

…チフユが、オレを好き?そんなことあるわけがない。オレはふと、先程見ていた夢を思い出した。きっとこれは夢の延長線上だ。なんてタチの悪い。目覚めたら現実を知って、どん底に突き落とされるだけではないか。

「カカシに彼女がいるのは知ってる。だけど、気持ちを伝えたかったの」

戸惑うオレを気にすることなくチフユは言葉を続けた。『彼女がいるのは知ってる』『気持ちを伝えたかった』チフユの口から発せられる全ての言葉が理解できない。
オレは緊張で乾いた喉を少しでも潤そうと唾を飲んだ。ごくりと嚥下音が耳の奥で鳴り響き喉仏が上下する感覚が夢にしてはやけに生々しく感じる。だとするとやはりこれは夢ではない。現実だ。

ーーけど、なんで

もう一度チフユの顔を見ればチフユの目は真っ直ぐオレの両瞳を捉えていた。合わさるその目は初めて会った時と変わらない、穢れのない綺麗な瞳。その瞳にはオレがどんな風に映っているのか。
チフユはホントのオレを知らない。どれだけ人を傷付けてきたか、どれだけ人を殺してきたか。さっきまで繋がれていた手だってそうだ。オレはこの手で人を貫いた。肉を引き裂き、人を躊躇なく殺すことができるオレのホントの正体をチフユは知らない。
否、チフユは知らなくていいことだ。チフユは生涯、綺麗なままでいて欲しい。何も知らないまま生きて欲しかった。そんな願望をチフユに押し付けてしまうのはオレにとって、チフユは特別な存在だから。

「…ごめん」

本当は喉から手が出るほどお前が欲しい。けど言えないのはチフユを失いたくないから。俯くオレにチフユは小さく「そっか」と呟いた。視界の隅に映ったのはぎゅっと握り締める小さな手。

「ううん。カカシに告白出来て良かった。ありがとう」

わざと明るい口調で話すチフユの顔をまともに見れずオレは俯くしかできなかった。一体、自分はどんな顔をすれば良いのか、どんな言葉を口にすれば良いのか何も分からない。

「違うの。そんな顔をさせるために告白したんじゃないの。自分の気持ちを整理したかっただけだから気にしないで」

項垂れて黙り込むオレにチフユは優しい言葉を掛ける。こんな最低で臆病なオレにどこまでチフユは慈悲深いのか。何か言わなくてはと必死に頭を働かすが、思い浮かぶ言葉はやはり「ごめん」その一言しか言えなくて。役立たずのこの舌の根を強く恨んだ。

オレが吐く謝罪の言葉は自己満足の類だ。チフユを傷付けたくない気持ちよりも自分が傷付きたくない気持ちのほうが勝っているのだから。

どこまで身勝手で卑怯者なんだ、オレは。

チフユと出会って少しは変われたと思った自分が全くもって甚だしい。過去ばかりに捕われて今を見ることができないオレはやはりずっと変わらない、あの頃のままだった。
チフユの顔を見ることが出来ないオレはただひたすら時が過ぎるのを待った。視界の隅に映るのは先程から固く握り締めるチフユの手。その手を握るのはオレではない。チフユを確実に幸せに出来る者だけだ。

ーーだったらオレは、チフユの幸せを第一に望まなくては。

繋がれた彼女の手の温もりは忘れよう。彼女の思い出も何もかも忘れてあの頃に戻ろう。簡単なことだ。また元の自分に戻ればいいことなのだから。固く心に誓って、ぎゅっと手で拳を作った。


『カカシがずっと笑って生きられますように』


チフユはあの時、オレの幸せを願ってくれていた。それなのに自分の事ばかり考えていたオレは、ひっそりと流す彼女の涙に気付くことさえできなかった。


さよならの影





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