第二十三章
ピノッキオは紺碧の髪の少女の死を泣き、そのあとで彼を海の岸まで運んでくれるハトを見つける、海岸ではジェペットを助けるために海の中へ飛び込む
ピノッキオは自分の首につけられた首輪による とても
目抜き通りに到着してから、目下に広がる平原を見下ろし、それから肉眼でじっくりと、不幸な運命によって きつねとねこ に巡り会ったあの森を見つめました。木々の間を見たとき、そびえ立つ大きなカシの木のてっぺんが見え、この木にピノッキオはぶらぶら揺すられながら首を吊られたのでした。しかし、こちらを見てもあちらを見ても、紺碧の髪の美しい女の子の小さなお家を見つけることが出来ないでいました。
その
こ こ に 眠 る
紺 碧 の 髪 の 少 女
彼 女 の 弟 ピ ノ ッ キ オ に
捨 て ら れ た 悲 痛
に よ っ て 死 ん だ
人形が音節ごとに区切って、しかも最悪なことに単語ごとに たどたどしく、これらの碑文を読み上げ終わったとき、人形がどのように立ち尽くしたか、きみたちに考えさせてあげましょう。
うつぶせになって地面に転げ、この死者の碑文にキスを一千発あびせ、大爆発of大感情での号泣も与えました。一晩じゅうずっと泣いて、その次の朝も泣き、さらに一日じゅう泣き、いつも泣いているものだから、人形の目の中にもう涙は残っていませんでした。彼の泣き叫ぶ声と うめき声の
さて、泣きながらこう言っています。
「おお、ぼくの妖精さま、なぜ死んでしまったの?なぜあなたの代わりにぼくは死なないのだろう、ぼくはひどく悪くて醜いけれど、一方であなたはとてもとても
こういったやり方で彼が絶望していた
そうしている間に、空中を大きなハトが通り過ぎてゆき、翼を広げくつろげてから立ち止まり、こう言いました。
「
「見えんのか?泣いとる!」
と、ピノッキオが頭をもたげながらその声のするほうへ向けて、目を上着の
「言いなさい」
と、ハトが付け足して言いました。
「きみと、お仲間たちとの間で、このことを知りはしないだろうか、ピノッキオという名前を持つ人形のことを」
「ピノッキオ……?ピノッキオと言った?」
人形はすぐに足で跳び上がりながら、こう繰り返しました。
「ピノッキオは ぼくだよ!」
ハトはこの返事を受け取るとすぐさま地面に降り立ちました。コイツは七面鳥よりも大きいハトなのでした。
「ではジェペットのことも、きみは知っていましょうね?」
と人形に尋ねました。
「知っているとも!ぼくのかわいそうなお父さんだ!きみ、ぼくのことを話してくれた?ぼくのことを
「三日前に
「何しとんじゃい」
「海洋を横断するための かわいい小舟を建造されていましたよ。あのかわいそうな人類は四ヶ月以上をかけて世界じゅうを巡ってきみを探しているのです。それでもきみは見つからないから、彼の頭はもうはるか遠くの新世界を巡ってあなたを探すことなってるというわけ」
「浜辺までどんくらいだ!?」
と、ピノッキオは心配で呼吸困難になりながら尋ねました。
「一千キロメートル以上ありますね」
「一千キロメートル?おお、ぼくのハトよ、きみはなんと美しい翼をお持ちであろうことか……!」
「もし行きたいのであれば、きみを運んでやりましょうけど?」
「どんなふうによ?」
「雄々しき馬の背に乗るようにですよ。きみの
「
さて、それ以上は何も言うことはなく、ピノッキオはハトに馬の尻に乗るように飛び乗り、足を片方はこちら、もう片方はあちらに投げ出して、
「ギャロップで駆けろ!ギャロップで駆けろ!
ハトはそれで勢いをつけ、数分のうちにはるか上空を飛行するまでに至り、もはや雲に触れるほどの高さでした。ずば抜けた高度に到着した人形はあふれる好奇心から、体の向きを変え、下を眺めました。そして多大なる恐怖からその手合いの
彼らは夕暮れになるまで一日じゅう飛び続け、ハトがこう言いました。
「クッッッソ のどかわいた!」
「ぼくはクッッッソ腹へった!」
と、ピノッキオがつけ足して言いました。
「この
彼らは無人の鳩舎に入りまして、そこには水でいっぱいになった
人形、彼の
「決して信じられなかったのだが、
「私のボーイフレンドくん、自分自身を納得させる必要ってあるよね」
と、ハトが返事をしました。
「ガチの飢えにおいて、他に食べる物がないとき、牧草もまた素晴らしい
素早くおやつタイムを済ますと、彼らは再び旅路につき、そら駆けだせよ!朝になると彼らは海岸に到着しました。
ハトはピノッキオを地面に下ろすと、この善き行いに対して感謝を述べられるようなことは ホントしち面倒であるというていで、すぐにまた飛び去って消えてゆきました。
浜辺は人々がぎゅう詰めになっていて、みんなそれぞれ海のほうへ ジェスチャーをふんだんに使いつつ叫んでいました。
「何のさわぎなん?」
ピノッキオはそこの
「かわいそうなお父さんが発生したのさ、せがれ をなくしたそうでね、小舟をひとつ欲しがって、それでもって海を渡って探すそうだよ。それで今日はクソほど海が荒れててな、小舟は目下、水中を進んでいるというわけさ」
「小舟ってどれ?」
「ほら、あの下のほうさ、私の指のまっすぐ先の……」
と、
ピノッキオはその差した辺りを集中して見つめ、注意深く眺めたのちに、とても鋭い悲鳴をあげ叫び始めました。
「あれはぼくのお父さんだ!ぼくのお父さんなの!」
その間に小舟は波に
さて、ジェペットのように見えたモノは、海岸からはるか遠くにあったにも関わらず、自分の
突然、並はずれて血も涙もない顔立ちをした波が押し寄せて、小舟は消え失せました。ギャラリーは小舟が浮かんでくるのを待ちました。が、小舟がカムバックすることすらありませんでした。
「かわいそう人間だ」
と、そのとき漁師たちが言いました。彼らは浜辺に集まっていたのです。それから小声でぶつぶつ言いながら神の祈り文句を唱えつつ、各自 家路についてゆきました。
ちょうどそのとき、ある種のうちひしがれた遠吠えを耳にして、人々は後方を振り返りました、そこには年端のゆかぬ男の子が見え、その子は
「ぼくのお父さんを助けて!!」
ピノッキオ、それは
「かわいそう男子だ!」
と、そのとき漁師たちが言い、海辺に再び集まってきて、そしてぶつぶつと小声で神への祈り文句を言うと彼らの自宅へと戻ってゆくのでした。
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※訳者注釈……ここの一文はトスカーナ方言で書かれていたため、日本語にする際に秋田弁で表記してみました。参考元サイトさま:秋田弁講座
◆出典元
『ピノッキオの冒険』 AVVENTURE DI PINOCCHIO
作 カルロ・コッローディ Carlo Collodi
出版社 Felice Paggi Libraio-Editore 出版年 1883年