第六章
ピノッキオは足を釜の上に置いたまま寝てしまったので、翌朝起きたときに足が焼き尽くされている
これはメモですが、この日はひどく荒れた冬の夜でした。雷鳴が強く強く鳴り、空は燃えて点滅し、過度に凍える風が怒り狂って口笛を吹き、砂ぼこりの雲は無限に舞い上がり、この田舎じゅうの全ての木がキィキィと音を立てて、つんざくような金切り声で鳴いていました。
ピノッキオは雷と
しかし、彼はここが全く暗く、無人であることに気が付いたのです……というのも、店は閉まっていたし、家のドアも閉じていたし、窓も閉じられていて、通りには犬さえいませんでした。
ーー死者の国のようだーー
絶望と飢えに襲われたピノッキオは、ひとつの家の呼び鈴を鳴らし、演奏攻撃を開始しつつ、心の中ではこう叫んでいました。
「誰か見下ろして来い〜〜〜〜!!!!」
するとまさに、ナイトキャップを頭に被った老人が現れたのですが、その人は怒り狂ってこう叫びました。
「この時間にお前、何がしたいんだ!?」
「パンをくれないか!」
「すぐ行くから待っていなさい…」と老人は返事をしながら、彼は夜中に静かに眠っているまともな全人類を邪魔するために家の呼び鈴を鳴らすしつこい悪ガキを、対処しなければならないと考えていました。
半刻ほど経って、再び窓が開き、先ほどの老人がピノッキオに向かって叫びました。
「さ、帽子をお脱ぎ!」
ピノッキオはすぐに小さな帽子を取りましたが、その動作をしている間に、えぐい量の水が降りそそぎ、まるで枯れかけたゼラニウムの花鉢に水をあげるみたいに、頭からつま先まで水びたしになる音を聞きました。
彼はずぶぬれでヒヨコのような足取りで家に帰り、疲労と空腹ですっかり出来上がり、もはや直立する力が残っていなかったので、燃え盛る炎によって暖かさでいっぱいの釜の上にずぶぬれになった足を乗せて腰かけました。
それからピノッキオはそこで眠りにつき、眠っている間に、木で作られた彼の足は火をまとって、ゆっくりゆっくりと炭になるまで焼け焦げていき、灰になりました。
ピノッキオは、さも自分の足が他人のものであるかのように、いびきをかきながら眠り続けました。
夜明けに誰かがノックをしたので、ついに彼に朝がやって来て目が覚めました。
「……誰?」
と、あくびをし、目をこすりながら彼はたずねました。
「わし」
と、声が答えました。その声はジェペット爺さんの声でした。
◆出典元
『ピノッキオの冒険』 AVVENTURE DI PINOCCHIO
作 カルロ・コッローディ Carlo Collodi
出版社 Felice Paggi Libraio-Editore
出版年 1883年