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▼ でいと?すまないが意味がわからない6

「ん…ふるっは、」

名前が古橋の名前を呼ぼうと口を開けると容赦なく古橋の舌が入り込んで来た。
まともに息を吸うことも吐くことも出来ず、ただ浅い呼吸をして古橋の二の腕あたりを押した。
びくともしない。
すまない、と言ったのに古橋はまったくやめない。
誰のせいか、また自分のせいだ。
どうしたらいいのかわからず、口内で蛇のように暴れる舌を必死に追いかける。
なにが正解でこういうときはなにをしたらいいのか、わからないまま名前は強く目を閉じた。
すると入り込んで来た舌は古橋の口内に戻り唇が触れるか触れないかの距離で古橋が名前を見つめる。
強く目を閉じている名前は完全には離れない唇にどうしたのかと疑問を思ったが目を開けることはなく古橋の次の行動を待った。

「名前…」

距離なんてないような近さで名前を呼ばれ赤い頬がさらに赤く染まる感覚がした。
どこか動かせばすぐに唇が触れてしまう。
それが嫌なのではなくただ恥ずかしいのだ。
こんな古橋を初めて見た名前は古橋にされるがままに動くことしか選択肢はなかった。

太陽の光のみで照らされている静かなリビングで古橋と名前の荒い息遣いが空気に浮いていた。
古橋の片手が名前の肩から二の腕を撫でながら下に降りていく。
もう片手は名前の髪と首筋を優しく触る。
あくまで優しい手つきに再びくすぐったくなり笑ってしまいそうになる。

「ふるはし、くん」

「なんだ」

言いたいことはたくさんある。
唇が近いだとかくすぐったくだとか。
しかしそんなことを言ってもきっと古橋は「そうか」で終わるだろう。
名前はゆっくり目を開ける。
目を開けるとやはり古橋がいる。
なんだか安心して名前は小さく笑った。
それが気に障ったのか定かではないが両手が下に降りて今度は脇腹をやわやわと撫でたり皮をつままれる。

「ちょ、お肉…」

「別に構わない」

そういう問題ではない。
つままないで、と言い終わる前に遮られたので心の中で叫ぶがそれが届くはずもなかった。

目を開けるべきではなかったのではないか、と名前は少し後悔する。
見つめあったまま体を触られるのはかなりの羞恥だ。
もう一度目を閉じようかと視線を落とすと古橋の手が腹の上を這い名前が気づかないうちに服を下着の辺りまでたくし上げた。
腹が寒いと古橋に眉間にシワを寄せ訴えると古橋はフッと笑い口付ける。
唇が重なり合っている間に古橋の手が腹を一通り彷徨うと名前の下着に手を置いた。
するとビクッと名前の体が動きおずおずと古橋を見上げる。
相変わらずの無表情で名前を見つめるので名前は古橋の二の腕をきゅ、と掴んだ。
下着越しに古橋の手の温もりが伝わる。
恥ずかしい。
古橋が唇を離し名前の視界から消えた。
名前が上半身を起こそうとすると腹になにか柔らかいものがあたる。

「ひゃ、…ん、痛っ」

ちゅ、と音がしてようやく古橋が名前の腹にキスをし吸いついたのだと気づく。

「柔らかいな」

「お肉?」

「…女性特有の柔らかさだなと思ったんだ」

古橋が少し拗ねたように言うので名前は古橋に笑いかけた。
古橋くんってかっこいいのに可愛いなあ。
名前は心の中で呟く。

「こんな状況で笑っていられるなんて…名前も大概不憫だな」

「…でも古橋くんなら、」

「ああ、わかったからもうそれ以上言わなくていい」

古橋ははあ、と大きなため息を吐きながらゆっくり目を閉じ、そして再び開き名前に向き直る。

「学習をした方がいい」

古橋はそう言うと名前の手をとり王子様のように手の甲に唇を落とす。

「はい」

「こちらが恥ずかしくなる」

古橋が触れていた名前の手で自分の頬を包ませる。

「はい」

「こちらの理性が保たないのを少し考えてくれないか」

名前は反抗するように反対の手でも古橋の頬を包んだ。

「はい」

名前が返事をすると言動が一致しないので古橋は少し不思議がった。
それを無視して名前は古橋の唇に自分の唇を重ね押し倒す。

唇を離すと目が合った。
包み込むような優しさと鋭い雰囲気を持つ古橋を見下ろして名前はなぜだか優越感に浸った。

「名前」

「古橋くん」

名前は微笑んで言葉を続けた。

「好きです」

「っ、」

名前がそう告白すると古橋の眉間にシワが寄った。

「好き」

名前が何度も言うので古橋が名前の背中に手を回し自分の胸に押しつけた。

「うるさい」

名前は突然のことでなにも出来ず顔から古橋の胸に飛び込む。

「い、痛い…」

もぞもぞと顔をあげて古橋を見上げると古橋が真っ赤な顔をして名前をじろりと見ている。

「ふるはし、くん」

「黙って寝ていろ」

再び頭を古橋の胸に押しつけられ名前は鼻腔いっぱいに古橋の匂いを感じながら目を閉じた。

(150427)
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