小説 | ナノ

▼ 愚かな君に制裁を与えようか

注意*中学3年⇒今吉、ヒロイン 2年⇒花宮

花宮は教室で委員会の仕事をしていた。

「花宮くん、土日の試合だけどね、」

「ああ、相手校でやる試合ですね」

なんでしょう、と言い花宮は動かしていたシャーペンを止め名前のいる方を見た。
土日の試合のことでなにか話があるようだ。

話を聞いていると、ふと名前が靴下なことに気がついた。

「名前先輩、なんで靴下なんですか」

「運動靴に履き替えたり上履きに履き替えたり面倒なんだよ
部活のときに上履き履くのちょっとだけだし」

名前は靴下の足を前にのばして花宮に見せた。
靴下とはいえ、冷たい床に足をつけて大丈夫なのか、と花宮は思った。

名前の彼氏、今吉は案外心配性である。
正しく言うと、名前にだけ心配性である、だが。
だから名前がなにか体に悪いだとか、そういったことには花宮も目を向けていた。
注意しないと今吉に怒られるのは自分であるし、…まあどこ見てるんだとどうせ今吉に怒られるのだが。

「で、このプリント…あ、」

名前が花宮にプリントを渡そうとすると滑った。
靴下で滑るのを忘れていた。

「あ、おいっ!」

とっさに花宮が名前を庇おうと動いた。

おそるおそる目を開けると名前は花宮に馬乗りになっていた。
花宮は名前の両手を掴み、まるで名前の行為を止めようとしているように見える。

「ごめん、花宮くん」

「大丈夫でしたか?」

うん、と名前が言おうとした。

「…そこでなにしてるん?」

タイミングが悪い。
2人の心中は同じだった。
花宮と名前が話していると今吉が現れたのだ。

「、翔一」

「今吉先輩…」

メガネの奥の目から感情は読み取れない。
今吉はなにも言わず名前と花宮に近づき、名前の腕を引っ張った。

「名前、行くで」

「え…」

絶対に怒っている。
2人になるとなにをされるかわからない。
そう予想した名前が今吉に掴まれた手を引くと、今吉がそれより強い力で引っ張る。
強引に名前を立たせると今吉は歩き出した。

「今吉先輩も嫉妬するんですね」

ハッ、と花宮が上半身を起こし床に座り鼻で笑うと、今吉は顔だけ花宮に向け笑った。

ドンッ
今吉が名前を壁に押し付けた。

「いっ、た」

「なあ」

名前に呼びかけ今吉が首筋に噛み付く。
決して甘く優しいものなんかではなく、ただ獣が獲物を仕留めるときのような噛み付きだった。

「花宮たぶらかして、なにが楽しいん?」

「たぶらかしてないよ」

「へえ?」

今吉は再び首筋に噛み付いた。
張り詰めた白い肌にプツッと今吉の歯が刺さり、そこから血が流れた。

「翔一…いたっ!」

「仕置きなんやから痛いに決まっとるやろ?」

そう言うと今吉はぎゅうう、と名前を抱きしめた。

「自分は誰のもんなんや」

なんだか子供のような今吉に名前が少し笑った。
耳元で「翔一だよ」と言うと今吉は顔をあげた。

「そら嬉しいなあ
ま、おおかたすっ転んだんやろうけどな」

「ならなんで、」

名前が驚いて今吉をジッと見つめた。
お仕置きとか言っていただろう。

「男の嫉妬やなあ…堪忍な」

「…」

まあいいか、と思うあたり名前もかなり今吉が好きなのだった。

(150322)
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