小説 | ナノ

▼ つかめない君をつかむ

「原くんてプレイボーイ?タラシ?
…なんだっけ?」

「さあね〜」

原は外国人のように両手を上げた。

「はー、原くん冷たっ
眉毛に聞こうっと」

「てか名前いい加減そういうボケやめて」

「え!?ボケてないじゃん
私いつも真面目だよー」

「…お前にラフプレーしていい?」

「かもーん!」

なんでそんなに元気なの…、と原が呆れてため息を吐く。

名前と話すと疲れるわ

原は心中で愚痴った。

「よく花宮のこと眉毛って呼べるよね
俺らだったら殺されてるんだけど」

「眉毛って女の子には強く出られないだよね」

名前がにやにやして言うので原もつられた。
こんなところを花宮に見られたらなんと言われるだろう?

名前は楽しいことをするのが大好きだ。
それゆえにあまり勉強はしていない。
ならばなぜ霧崎に入学出来たかというと、本当にたまたまだ。

中3になるとみんな勉強に追われて誰も名前と遊んでくれなかった。
仕方がないから自分も勉強すると、いつも空っぽの頭なので意外にも内容がするする入る。
これがこうなって答え。
そういうルールか、と割り切ってしまう名前はぐんぐん成績を伸ばし、近くにある進学校の霧崎、という高校を受験してみた。
するとツルッと受かったのでそれから味を占め、入学してからテスト前にまた内容をするすると入れている。

頭が良いのか悪いのか。
わからないが、頭の容量は良かった。

「原くんさ、いっつもなんか…あの、赤っぽい髪の人と一緒にいるよね?ホモ?」

「名前あんまそういうこと言うと原チャン疲れちゃう
つーかあいつザキね
ザキは茶髪」

「なんで?」

わからないという風に聞くと原は苦笑した。
あのね、と原が話し始める。

「いつも一緒にいるからってイコールホモなんて公式成り立たないよ
反例は仲が良いとか下僕とか」

「うわっ原くんなに数学っぽいこと言いだしてんの?
頭沸騰したわ」

「はえーよ」

は?と言って原が頬杖をついて名前を見る。

「テスト前とテスト中以外にそういうこと言わないでよー」

「日々の授業は違うことしてっから関係ないってワケね」

はは、と呆れたように笑う原に「そうとも」と名前が言うのでまた笑った。

「名前さあ、女同士で毎日一緒にいるやつらのこともレズだと思ってる?」

「思ってないよー
だって仲良しなだけじゃん」

「だから…それ男も同じ…」

俺もう説明ムリ…
と原が頭を抱えた。

「男も女も同じなの?
はーつーみーみー」

「名前の思考どうなってんの…」

ついに原は机に突っ伏して名前を見上げた。

「じゃあ原くんと茶髪くんはモーホーじゃないんだね
よかったあ」

「普通にホモって言えよ
なんだよモーホーって
…で?聞いてどうすんの?」

と言うと名前が急に真面目な顔をする。

「だってさ、もしレギュラーの仲が悪くなったらどうすんの?」

「知らねえし
別に仲良しこよしで集まってないわ」

「へー」

名前が興味なさそうに返事した。

「じゃあ私と仲良しこよししよっか」

「…名前聞いてた?」

「聞いてたー」

原はまたため息を吐いた。
嫌なら話さなければいいのだ。
仲良しこよしも断ればいい。

それなのにそうしないのは?
原はこの気持ちがよくわからなかった。
だが楽しいことが大好きである。
なにより名前と話すのは疲れるけれど楽しい。
仲良しこよしをしたらもっと楽しくなるんじゃないか。
そう考えるとわくわくが止まらない。

原は名前の言葉にゆっくり頷いた。

(150323)
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