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くるりと後ろに向かされて目の前にいたのは康次郎で、いきなりキスされた。

「ちょっと…康次郎!?」

「キスを待っているんじゃなかったのか」

「!?ち、ちがっ」

私が言い終わる前にもう一度、今度は深くキスをする。

なんだ今日は。
キスがしたい日なんですか。

だいたい、キス待ちの顔なんてしてないし、どういう顔なのかもわからないのに。

「私キス待ちの顔してた?」

「いや、俺がしたかっただけだ」

ん?
いやいや、したいからと言っていつでもどこでもキスしてしまうのはいかがなものだろうか、

ちなみにここは廊下。
補足すると帰りのHRが終わってすぐ康次郎に会ったので生徒の数なんて考えなくてもわかるくらいたくさんいた。

「康次郎…みんなが見てるから」

「問題ない」

「どこが…」

康次郎がにっこり笑って(…いるような雰囲気を出したのできっとそう)近づいてくる。

どうしよう。
たくさんの目に晒される…!
私恥ずかしくて死ぬかもしれない。

康次郎と顔の距離がすぐキス出来そうな距離になって、顔に熱が集まったのがわかる。
至近距離で康次郎を見ると、なんかきれいな新品を見てる気分になった。
傷とか肌荒れとかないし、つるつるだし。

「ね、康次郎」

「なんだ」

康次郎が私の頬を撫でた。
くすぐったいけど温かい。
気持ちいいなあ。

「私康次郎のことすっごく好きなんだけどどうしたらいいの?」

私が言うと康次郎は少し驚いたような顔をした。

可愛いよ康次郎可愛い。
おデコ触りたい触っていいかな?いいよね?
驚いている隙に康次郎のおデコを触った。
つるつるすべすべすぎてどうしよう、触るのが止まらないわ…!

「なにしてるんだ、やめろ」

「えー」

ベシッとおデコから手を退けられた。
康次郎はおデコを触られるのあんまり好きじゃないのかな…?

「『好きなんだけどどうしよう』、の話の続きだが」

「うん」

「相手に伝わるように行動で示せばいいんじゃないか?」

キスとかハグとか。
と康次郎が言ったので合点がいった。

「確かに私からキスとかしてないね」

「ああ」

「…不安にさせた…?」

「…いや、まあいつも一緒に昼食を食べたり帰っていたからな
そういうことで不安なんてカバー出来ていたさ」

不安をカバーしていたのか…
確かに私はキスとかハグしてもらってたからすっごく愛をもらってたな、なんて今更ながら感じた。

でもこんなんじゃダメだよね
もらってるのと同じくらい表現して一緒に笑ったり時間を共有したいな

「康次郎サン!」

「急になんだ」

「目を閉じてください」

「…わかった」

私がしたいことがわかったのか、ただ素直に行動してくれたのかわからないけど、康次郎は目を閉じてくれた。

目を閉じても康次郎はかっこいい。
…ここでおデコ触ったら怒られるかな…。
少し悪戯心が芽生えたけどやめておこう。

ドキドキする。
キスってこんなにドキドキするのね…。
とりあえず両手で康次郎の白い頬を包んでみた。

温かいなあ。
ふにふにだし。

「…温かいな」

「え…私も同じこと考えてたよ」

「フッ…そうか」

両手から康次郎の口角が上がったのを感じた。
背伸びをする。

…届かない。
ちょっと康次郎の顔を引っ張って…と思ったら康次郎が中腰の体勢をとってくれた。

意を決して唇と唇を合わせる。

…柔らかい。
いや、何回もしてるから知ってるけど、いつも以上に敏感に康次郎を感じられる気がする。

唇も手も離すと片手を掴まれる。
なんとなく恥ずかしくて康次郎を見れない。
ギュッと康次郎に手を握られる。

「…」

「名前、ありがとう」

「いや、その、えっと…」

「これからもしてあげる、だろう」

「そう、これからもしてあげ…って!
するけど…やっぱりちょっと恥ずかしい」

「照れている名前も可愛いな
ところで生徒がたくさんいるのは覚えているか?」

康次郎が握っていた手を生徒のいる方に引っ張る。

…忘れてたよ

「康次郎…私明日から学校行けないかも」

「それは困ったな、どうしたんだ?
イジメにでもあっているのか?」

違うわ
恥ずかしくて行けないんだよ

心の中でつっこむと康次郎が笑った。

「走るぞ」

「うん!」

康次郎に手を引っ張られ2人で誰もいないところまで駆けた。

(150323)
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