小説 | ナノ

▼ 放課エロス

注意*R15

今日も今日とて花宮はバスケや勉学に勤しんでいた。
表ではいい子を演じ好感を持たせ、心の中でいつか起こる自分の裏切りに相手がどうなるのかとわくわくと胸を躍らせる。
そして気を許し信頼させ、相手の優先順位の中で自分が上位に立ったところで地獄へ落とす。
ああ、楽しい。俺の至福のひとときだ。
人の絶望した顔は人間臭くてずっと見ていられる。
これがメシウマというやつか。
花宮は1人嘲笑した。

「真」

呼ばれたのでお外用の顔をかぶりにっこりと微笑む。

「なにかな?名前」

「ここの問題、教えて欲しいんだけど…」

おずおずと名前はページを開いた教科書とノートを花宮の机の上に置いた。
それらにサッと目を通すと、数学だった。
ノートには計算が書いてあり、途中でつまずいた状態だった。

花宮は不機嫌になった。
もちろん表には出ていない。
お外用の顔はそう簡単に剥がれないのだ。

なんで今聞くんだよ。家でいいだろ。
だいたい学校では必要以上話しかけんなって言っただろうが
お前の脳はちゃんと使われてんのか?
…ああ、使われていないからこんな問題を聞いてくるのか。

いつもの調子で心の中で罵倒した。
彼女なのはわかっている。
きちんと好きだ。
だがバカやグズにはどうしても抑制より前に罵倒が出てしまう。
好きと罵倒は違うのだ。

花宮は周りをちらりと見回し、名前にもっと近くに寄れと手招いた。
名前がそれに素直に従い、顔と顔が20cmくらいの距離になると花宮が周りに聞こえないよう小声で話し出す。

「なんで今聞くんだよ」

「昨日の数学であてられてたの忘れて勉強して来なかったの。しかもわかんない」

数学の時間では4、5問宿題が出される。
答える人は席順で決まっているのだ。
あてられた生徒は授業が始まる前に黒板に答えを書いておかなければならない。
チャイムと同時に先生が来て、答え合わせから授業が始まるというルールなのだ。

「はあ?言うのおせーんだよ
あと2分で先生来るだろ」

理解させるのに2分では足りない。
花宮は小さくため息を吐いた。

だよねえ、と言いノートや教科書を片付け退散しようとする名前に、花宮は自分のノートを差し出した。

「とりあえず黒板にはこれ写せ。
理解するまで返さなくて良いし授業始まったら無理に返そうとすんな。
いらねえから。」

「え、真…いいの?」

聞く暇があるならサッサと黒板に写せ、と花宮は愚痴をこぼす。

「…わかんねえところなんだろ、貸してやるっつってんだよ」

もう一度押し付けるようにノートを差し出すと、ようやく名前が受け取り体勢を戻した。

「ありがとう!この分野完璧にするね!」

「ああ、頑張ってね、名前!」

急いで黒板に向かって歩く名前に花宮はいい子ちゃんで返した。

「名字、今回の解答はうまく出来てるな。この調子で頑張れよ」

先生が答え合わせのときに名前を褒めた。

「は、はいっ」

まさか褒められるとは思わなかったのか、驚いて背筋をピンとのばした。

放課後
霧崎の部活は強制全員参加だ。どこかの部活に必ず所属しなくてはいけない。
それゆえに、生徒は放課後になると部活に急いで顔を出すのだ。
教室には花宮を待っていた名前しかいなかった。

「真っ!」

先生から頼まれたプリント回収を終え帰ってきた花宮に、名前がノートを持って駆け寄った。
まるで主人の帰りを待つ犬のようだ。

「チッ
おい、学校では必要以上話しかけんなっつっただろうが」

「ごめん」

にこにこした顔から一変、しゅんとしぼんだように俯いた。
花宮の言う必要以上に、今回は含まれなかった。
名前が宿題を忘れなければ話しかけずに済んだからだ。

「でも真と話したかった」

小さな声で呟く名前。

「…それでわざとやって来なかったのか」

名前の顔がこわばる。

…図星かよ

はあ、とため息を吐く。
口元をにやりと歪ませ悪い顔をした花宮は名前の肩に手を置き顔を近づけた。

「お前ほんと俺のこと好きな」

そのままちゅ、とリップ音を立て触れるだけのキスをした。

「ま、まこっ」

「黙れ」

名前の腋の下に手を入れて持ち上げ、近くの机に座らせた。
足の間に花宮が立つ。

「ちょ、なにする…」

「黙れっつったよな?」

机に両手を置き見上げるように下から睨むと、名前が顔を青くさせコクコクと頷いた。

名前のさらさらした髪を耳にかけ反対側に流した。
急に外気にさらされ寒いのか少し震えた。

花宮が耳の上部にかじりつく。
驚いたのか名前がビクッと動いて両手を花宮の肩に乗せた。
花宮の肩を押すがさすがバスケ部、びくともしない。
たっぷり唾液を含んだ舌で側面に沿って下から上に向かって舐め上げる。
耳たぶを強めにかじると、名前が「っあ」と声を漏らした。

首筋に舌を這わせると名前の肌に鳥肌が立った。
右手でワイシャツのボタンを一つずつ外しながら名前の太ももの上にもう片方の手を乗せた。

ピチャ、と水の音が静かな教室に響いた。

「こんなところでこんなことして悪い子だなあ、名前は」

「真がこんなことしてるんでしょ!?」

ふはっ、と笑い熱を持った目で名前を見つめる。

「嫌なら暴れろよ」

いつもより低い声でそう言いながら太ももの上にある手を足の付け根の方へ進めた。下着に指を引っかけると名前が息を詰まらせる。

「…っ」

花宮からくつくつと喉から笑いが漏れた。

ノリ気じゃねえか。

「どうする?このまま快楽に溺れるか、…ああ、部活に行く?」

特別に、好きな方を選ばせてやる

そう言う花宮は妖しく微笑み、答えようとする名前の口に舌をねじ込みディープキスをした。
唇を離すと名前を見上げる花宮の顎に唾液が伝う。
光を受けぬらぬらと輝く舌で自分の唇を舐めた。

「…なあんて、言うわけねえだろバアカ
溺れろよ」

(150310)
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