小説 | ナノ

▼ なにも言わなくていい2


名前が隣を見ると白石がいた。白石のあどけない寝顔を見ていると、名前なんだか寒いことに気づいた。
ふと自分を見ると裸だ。

「!?ちょっ…」

名前は慌てて布団を首までかけた。
白石に見られていないか確かめるため、白石の方をちらりと見る。
すると白石も裸で名前は顔が赤くなった。
テニスから退いたその体は筋肉もバランスもしっかりしていた。

昨日した、のか

名前は昨日のことを思い出しまた顔に熱が集まるのを感じた。

「…ん」

名前が白石を見つめていると、白石が起きたのか声を出した。
なんだか気恥ずかしくてとっさに寝たフリをする。

「…名前ちゃん、おはよう」

そんな名前を白石は気づいているのか気づいていないのか、抱きしめ優しい声で言った。

「お、おはよ」

名前がそう返すと白石は名前の首筋にチュ、とキスをした。

「昨日いっぱいしただろ?」

「まだ足りひん」

白石はそう言うと名前に覆い被さり唇に深く口付けた。
舌が入り込んできて苦しい。
そんな名前など露知らずに、白石は名前の胸に優しく触れた。
名前が白石の手を止めようとするが、それを反対の手で抑えつけ胸をやんわりと揉む。

「んっ、あっ」

漏れた声に慌てて口元を手で隠すと、白石は微笑んだ。

「もっと聞かせて」

白石が再び首筋にキスをしようとすると、名前は白石をベッドから落とした。

「調子に乗んな!」

「痛いて、」

「隣の部屋で着替えてきて」

痛がる白石に服に渡してそう言うと、白石が首をかしげた。

「ええやん、もうお互いの体見たんやし」

「着替えてこい」

「…はい」

名前が睨むと白石は素直に従った。
名前を怒らせると怖いのだ。
名前には勝てないな、と白石は笑った。

白石がリビングに行くと、既に朝ご飯が出来ていた。
いただきます、と言って一口食べると空腹にご褒美を与えた。
白石が名前においしいと言うと名前は喜んだ。
名前はだいぶ主婦らしくなった。
結婚して半年だが口調が柔らかくなったが行動は男勝り。
しかし白石はそんなところに惹かれたのだ。
なんだかそんな男勝りなところも可愛く見えるのだ。

ご飯を食べ、テレビやアルバムを見ながらゆっくり過ごした。
名前は笑って言った。

「結婚式は楽しかったな」

名前の隣で写真を見る白石もああ、と笑った。

「私と蔵ノ介の結婚式なのに跡部が凄い目立っていたのは腹立ったけどな」

「まあ跡部君はどこに行っても目立つからなあ」

「そうだけどさ」

名前が結婚式のことを話すので白石は頷きながら聞いた。

夜になると白石と名前はベッドに入った。

「明日は仕事やから寝るな」

おやすみ、と言うと名前が白石に聞いた。

「ねえ、私のどこに惹かれたの?」

「ん?どうしたん?」

白石はそんな名前を不思議がった。

「私って男勝りだから…どうして好きになったのか聞いてるんだよ」

白石は笑った。

「初めて名前ちゃんに会ったときは口調も乱暴やし凶暴やし…人の話を聞かない女の子やと思っとったで
U17ではしょっちゅう真田君と跡部君と喧嘩してたやん?俺も驚いたわ
でも名前ちゃんは真っ直ぐで他の女の子と違って自分を作ったりせえへんところに惹かれた、かな」

そう言って白石が名前の方を向くと目を閉じていたので寝たのか、と白石も目を閉じた。

「ありがとう」

名前が白石の背中に抱きつくと体温が白石に伝わる気がした。

「…しないの?」

「…へ?」

名前の言葉に白石は頬を染めた。

「…この雰囲気はアレをする空気じゃないの?」

「いや、せやけど明日仕事やし連続はなあ…」

白石が名前の体を気遣って遠慮すると、名前は頬を染めて白石に呟いた。

「私の事が嫌いなの?
昨日は私の事を絶頂させたのに?」

「ちょ、なに言うてんの名前ちゃん」

白石も名前と同じように頬を染めて慌てだした。
すると名前は急に真剣な顔をしだし、白石を見つめた。

「私さ…私と蔵ノ介の子どもがほしい」

「名前ちゃん…」

名前は白石に被さりキスをした。
白石は名前を受け止めるかのように押し倒しキスをする。
それに応えて白石の頬に触れた。

「ん、まって、くらのすけ、」

「待てへんから、っすまんな…」

白石に激しくされ名前の腰が逃げる。
それをさせない白石の汗が名前の頬に垂れた。

乱れている名前の姿を見て白石はまるで己が獣になったかのような気分になった。
名前の上気して色づいた体が白石を目から誘惑した。
周りからスタイルがいいと言われていた名前を独占できるのがうれしいのだ。

「名前ちゃん、もうイくで」

「うんっ、はやく、」

白石に腕枕をしてもらった名前は白石を見た。

「満足した?」

「せやなあ…名前ちゃんが可愛かったからもう一回シたいかなあ」

「なっなに言ってんの!」

と言って恥ずかしさを誤魔化すように白石を叩いた。

「子ども出来たかな?」

名前が言うので白石は抱きしめた。

「任せといてえな」

白石が笑うので名前も笑った。

(150411)
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