▼ 白く柔い
注意*緩くR15
「じゃあ心臓の音を聞くから服めくって」
「っ、うん」
そろりと服の端を掴んで少しだけ上げる。
恥ずかしい。
名前は顔を真っ赤にさせ強く目を閉じた。
白衣を着た瀬戸のせいで目が合わせられない。
逆らえないと思った。
「それじゃあ上手くあてられないからもうちょっと上げて」
「えっ…むりだよ…」
少し目を開けて瀬戸を見ると名前をじっと見つめている。
名前がさらにきつく服を掴み目を泳がせていると瀬戸が名前の肩にポンと手を置いた。
名前はびくりと震わせもう少し服上げる。
すると近くでため息が聞こえた。
「これはさ、検診なの
しっかりやって?」
「ご、ごめん…」
怒られバツが悪くなるが羞恥が邪魔をしてなかなかことが進まない。
服をまくることと怒られること、どちらを優先させればいいのか。
そんなこと考えなくてもわかることだが、名前はどうしても出来なかった。
好きな人に自分の素肌を見られるということはなによりも恥ずかしい。
それが行為の最中であれ、着替えの途中であれ…例えお医者さんごっこの検診の最中であったとしても、意識する人の目に少しでもよく見えたいと思うのはごく自然のことだ。
「名前、目開けて」
瀬戸の言う通りゆっくり目を開ける。
そこには優しく笑った瀬戸がいて、目が合うと名前の頭を撫でる。
「触るよ」
「…っ、け、けんたろう…」
「大丈夫だから」
胸の下までまくった服とそれを握りしめる名前の手を優しく掴んで少しずつ上に上げた。
淡い色のブラジャーが見えさらに上に持っていくと血管がうっすら見えるほど白く柔らかそうな胸が見える。
高校生だからかまだ発達途中の小ぶりな胸が名前の呼吸に合わせて上下している。
瀬戸は艶かしい、と心の中で呟いた。
「健太郎…恥ずかしい…」
「すぐ終わるからね」
「うん…」
まくった手をそのままに、反対の手で自分の首にかかっている聴診器を両耳につけ名前の胸の近くまで持っていく。
すると名前が少し逃げたので瀬戸は椅子ごと名前に接近した。
「逃げないで」
「健太郎なんか…怖いよ…」
「そんなことないよ」
名前の背もたれのない丸い椅子を自分の足の間に引っ張ると名前の足を自分の太ももの上に乗せた。
「ちょ、見えちゃう」
「見えないよ」
「そういう問題じゃない…」
スカートの中が見えるのを嫌がる名前を無視し、冷たい聴診器を鎖骨の上に押しあてる。
「ひゃ、」
名前が冷たさに体をびくりと震わせた。
「ごめん、冷たかったね」
なんともないような顔をして名前に謝ると羞恥のせいで涙目の名前が瀬戸を見上げた。
見下ろしたせいか名前が幼く見える。
しかしいつもよりアブノーマルな雰囲気に酔いそうになった。
「大きく深呼吸して」
すうっと息を吸う音が聞こえ、後に吐く音が聞こえる。
聴診器を鎖骨の上から下に移動させ耳をすます。
呼吸と連動して規則正しく動く心臓の音を聞く。
どくどくと聴診器から直接脳に響くこの感覚が堪らない。
それが名前の心臓の音ならなおさら興奮する。
瀬戸はするすると下に手を降ろしブラジャーの隙間に入れ押しあてた。
「やっ…」
聴診器越しに柔らかな胸の感触が伝わり、思わずめちゃくちゃにしたい衝動に駆られた。
名前に気づかれないよう大きく息を吸い自分を落ち着かせる。
鳩尾あたりの音を聞き瀬戸は名前を後ろ向きにさせた。
「まだやるの…?」
「ちゃんとやらないとね」
服をまくった背中はとても小さく頼りないものだった。
瀬戸が殴ればすぐにでも折れてしまいそうなほど弱々しく白い。
肩甲骨が浮き出しており、瀬戸は羽をもがれたのかと思った。
誰にも触れられないこの背中に傷をつけたいと欲望が溢れる。
もう限界だった。
「名前…」
「な、なに…?」
瀬戸は素早く耳から聴診器を取ると後ろから名前を抱きしめた。
肌を晒して寒かったのだろう、鳥肌が立っている。
瀬戸は興奮で火照った自分の体温を名前に移すようにくっついた。
「あったかい」
「ごめん、夢中になって忘れてた」
瀬戸が素直に謝ると名前はくすりと笑った。
笑うと名前の体が動いて先ほどのことを思い返す。
瀬戸より身長の小さい名前は小さく壊れてしまいそうだった。
「ねえ、もうちょっとだけいい?」
「ダメって言ってもするんでしょう?」
「よくわかってるね」
瀬戸はそう言うと体を離し触れるか触れないかの力加減で名前の背中に触れた。
「くすぐった、い」
名前の肌にぞわりと鳥肌が立った。
時折身を捩らせ逃げようとする。
瀬戸には名前のなにもかもが自分を煽っているように感じた。
名前に気づかれないよう顔を近づけると舌で背中を舐めた。
「う、あ」
名前がびくりと体を震わせ小さな声が漏れる。
頭に熱がこもりおかしくなりそうだった。
両手を前に回しあの柔らかな胸を服のうえから撫でた。
それだけでは飽き足らず服の下から手を忍ばせブラジャーごと優しく揉んだ。
「け、けんたろう、だめ」
「なんで?」
「、なんでもっ!」
慌てる名前の耳元で瀬戸はわざと低く囁いた。
瀬戸を止めようと服越しに手を重ね退かそうとするが名前の力で退かせるはずもなかった。
「名前」
「なに…」
「可愛い」
ふふ、と笑うと名前は身をよじって抵抗した。
それすらも瀬戸を煽るのだ。
「可愛く、ない」
「そう?」
瀬戸が聞くとぶんぶんと首を縦に振った。
とれてしまいそうだ。
「名前の全部が欲しいな」
いい?
そう耳元で囁けば今度は静かに首を縦に振ることを瀬戸はわかっていた。
(150617)
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