プロローグ
自分で言うのも何だが、私は遅咲きタイプだった。
昔から特に秀でたものがなくて、平凡なアカデミー生活のち卒業。下忍としての下積み時代。しかしある日を境に路が開き15歳で中忍、19歳で上忍へと昇格し、そこからは幻術、忍術、体術をオールマイティーにこなすまでになった。
努力の賜物、まさにそれに当てはまる。
この力で里の皆を守り、先を進む偉大な人達に追い付き、追い越すんだ。
「あ…れ…?」
だが、悲劇は唐突に訪れた。
病に身体が蝕まれた、視神経の病気の所為か手足が上手く動かず、とうとう寝たきりの日々。
リハビリに時間を要する事になるが手術をすれば問題はないとの話を医師から話されたが、時期が悪かった。何故なら、ちょうど忍界大戦の始まる寸前だったから。
私の病はすぐさま命に関わるようなものではない。だから尚更、綱手様を含め他の医療班も私一人に構うことなんて出来なかった。構う暇があるなら対策を練るだろう。
そんな状態だ。
忍界大戦の際には戦うことなく悔しい思いをし、ただ終わるのを待つだけだった。この世の終わりの瀬戸際、戦力にもなれず、挙げ句の果てに無限月読にかかる。実力はあったからこそ、自分が許せなくて辛かった。
戦争は終結し、忍連合の勝利。
程なくして綱手様の手術を受ける事になった。
そこからは、がむしゃらに上を目指す日々。
手術後、一年間リハビリをしながら昔の感覚を取り戻させ、20歳の時に暗部入りを志願した。最初は何も後ろ楯がない状態じゃ通らないと思っていたが、すんなりと承諾された。
私は暗部となって里に仇なすものを暗躍する道を選んだのだった。
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