03


話はまとまった
三代目火影様なら、私の立場も含めて理解しているし悪いようにはしない。


「そうと決まれば出発…!」


まるで隊長になったように先陣を切り、木ノ葉の里への道を辿る。軽快良く木々を蹴り移動する私を見て慌てて追いかけてくる二人。


「あの…未来から来たと言ってましたが…どこまでボクらの事を知ってるんですか?」
「テンゾウ…余計な詮索はするな」
「カカシ先輩は気にならないんですか?」
「…気にならないと言えば嘘になる」
「はいはい、それぐらいなら答えるから。んと…テンゾウは根から抜けたばっかだよね?」
「そ、そんな事まで…!や、やはり先輩…この人…」
「…オレ達がどうこう言っても仕方ない。後は火影様に任せよう」
「気味悪いでしょ、ごめんねー」


二人の年齢から推測するに、ここは13年くらい前の世界だろう。

どうしてそこまで情報を把握していると?
それは特殊体質によるものだ。
もちろん、機密事項なので安易に言えない。

終始無言で里に帰還。



***



「火影様、カカシです。任務完了の報告と……」
「…三代目火影様、こちらでは初めまして」
「うむ、誰じゃ…?」
「このピアスで、解って頂けますか?」


カカシとテンゾウに通され火影様の執務室へ。

方膝をつき、頭を下げて軽い挨拶。
そして耳にあるピアスを外し、それを差し出す。


「これは!ま、まさか…お主は…」
「そのまさか、です。私は未来からやって来ました」
「未来じゃと…」
「ええ、このピアスは私にだけ与えられたもの、使いこなせるのも私だけ…。それはよくご存知でしょう」
「…あぁ。そうか、お主は立派に成長したのじゃな」
「ええ」


やはり火影様は思っていた通り、私の立場を理解して受け入れてくれた。嬉しそうな優しい眼差しを向ける。
とても懐かしく、涙が出そうになった。
私の世界ではすでに亡くなられているから、尚更だ。


「して、何故カカシらと共に…」
「彼らと会ったのは多分偶然かと。ただこうなった原因は解っております」
「それは?」
「ある任務で忍を追っていました。多分、そいつの仕業です」
「なるほどのう。…カカシ、テンゾウよ」
「はっ」
「悪いが、席を外してくれ。なに、こやつの事は知っておるから案ずるな」
「で、ですが…火影様!貴方にもしもの事があれば…」
「そのワシが、大丈夫と言っておるのじゃ」
「しかし…!」
「はぁ…まぁ、普通の反応だよねぇ」


いくら里の長が大丈夫だと言っても、素性がはっきりしない者と二人きりにはさせられない。例えそこに敵意はないとしても、簡単に受け入れるものではない。


「オレ達は火影様直轄の部隊だ」
「…なら、今から話す事は他言無用で」
「お主…」
「ただ、私が戻る際には君達の記憶を封印する。この世界で知らない事を知るのはご法度だからね。それで良い、カカシ、テンゾウ」
「…あぁ」
「ボクも、それで…」
「よし、じゃあ火影様…悪いけど全て話しますよ」
「うむ…」


私は上層部や火影様以外に始めて自分の生い立ち、能力、立ち位置を語った。





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