02


「で、どうなの?」


両手を上げて、まんま無抵抗だと主張。

二人の様子をみると、一方は目を見開き凝視。もう一方は気まずさか、はたまた恥ずかしさからか、目線を反らしていた。
ちなみに前者がカカシで後者がテンゾウ。


「……」
「……」
「…あ、そっか。下も脱がなきゃね〜ちょっと待って」


上げていた両手をショーツに掛け、下げようとした矢先に。


「も、木遁…!!」
「テンゾウ!?」
「んん?」


焦ったような声と、身体を拘束する…いや、囲うように出現した木。テンゾウの木遁術だ。


「か、カカシ先輩…!こ、この人に敵意はありません…!だ、だからその…貴女もそこまでしないで下さい…っ」
「お、お前なぁ…」


…うわ、ヤバい、テンゾウくん可愛い。

女性の裸体に慣れてないのだろう、顔を真っ赤にして消えそうな声がその証拠。つまりこの木遁で身体を隠してくれたということだ。


「ボクにはこの人が嘘をついてるように思えないんです…。木ノ葉の忍と彼女は言った、だけどボクらは一度も姿を見た事がない。いくら暗部で働いてるからってそれはあり得ないと思います。なのに名前も年齢さえも知っていた…それにあの実力は本物でした」
「…だからってねぇ…あぁ…もう!!おいアンタ!本当にオレ達の敵じゃないんだな!?」
「私が敵なら、とっくに殺してる」
「っ…だろうね。…分かった、とりあえず敵意がない事は認める」


ドサッとその場に座り込むカカシ。
その額からは、冷や汗が流れて出ていた。


「ごめんねー…何か色々と」
「はー…頭が痛いなんて、久々過ぎる…」
「えっと、その、今の内に着替えて下さい…」
「じゃあサラシ取ってくれる?」
「は、はい…」


テンゾウは足元に落ちているサラシを取り、手渡してくれる。その際にも目線は反らしていた。なんというか、こういう子を見るとからかいたくなる。
その点、カカシはずっとこちらを睨んでいる。疑り深い性格も、大いに結構。

普段から上層部と火影様以外に関わる事しかない為か、これらのやり取りがとても新鮮。


「ん、テンゾウもう術解いていいよー。サラシ巻いたし」
「じゃあ解きますね…」
「でも、服は着てないけど…っと」
「話が進まない…さっさと着てくれる?」
「はいはい」


またテンゾウの赤くなった顔でも見れるかと思ったが、横から服が飛んできた。カカシが投げたものだ。
確かに進まないし、この二人も任務中のはずだ。支障をきたしてはいけない。


「とりあえず…アンタはこれからどうする」
「そうだね、まず火影様に会おうかな」
「火影様に…?」
「そ、私がここに飛ばされた原因も大体分かった。けど、整理が必要だ。それに帰れると決まったわけじゃないし、宙ぶらりんの状態はしんどいからね」
「…一人で里に帰っても門前払いだから…ボク達が付いていけと言う事ですか」
「まぁ、そうなっちゃうか…でも迷惑なら、どうにかするけど」
「…付いていけじゃなく、連れていけの間違いだよ、テンゾウ」
「お、鋭いねカカシ」


大きな溜め息が零れ、カカシは言う。


「良いだろう、連れてってやる。その変わり火影様に会うまで変なマネはするなよ?」
「りょーかい。ところで君達任務中だったんじゃ?」
「任務はもう完了して、一泊してから帰ろうとしてたんですよ」


つまり任務を遂行し、疲れきった状態を一時期に休めようとした時に現れた。
そんな事なんて知らずに、私は二人を拘束したまま一夜を過ごさせた。


「いたいけな少年達に…あぁ、ごめんよ」
「一々腹が立つのは気のせいか…」
「か、カカシ先輩…」


というわけで、ひとまず木ノ葉の里へ帰還することになった。
さて、三代目火影様は私を見てどんな反応をする事やら。





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