水色少女日和 | ナノ





第6話 鷹の時間




訓練を開始して4ヶ月ぐらいが経った頃、烏丸先生の授業では先生にナイフを当てる授業が始まってきた。


まずよく組まれるのが悠くん前原くんのペア、そして岡野ちゃんめぐちゃんのペア。

あの二組は有力なのだろう。



そして私はというと…


「がんばろうね。」


いつもながら渚とだ。


「じゃあ渚が後ろからいって…」


「うん。決まりだね。」



ということで私たちもいく。


まずできるだけ殺意を立てずに先生に攻撃を仕掛け、そのうち二人同時に先生に攻撃するのという作戦だ。


最初の方は順調だった、


が。


「わ。」
「きゃ。」


一緒に攻撃をしようとした時だろうか、やはり烏丸先生に反撃されてしまうのであった。


「すまない。ちょっと強く防ぎすぎた。」


「あ。平気です。繭は?」


「大丈夫ですよー。」


「ばっかでー。二人してちゃんと見てないからだ。」


「「う。…」」


それから授業は終わり、烏間先生は職員室へ戻っていくのであった。


それと同時に新しく来た先生みたいな人。


その人から発せられるオーラというか雰囲気がなんか違うなと思ったのは私だけだったのであろうか。



その人の名前は鷹岡明という人。


今日からここで働くらしい。



それにしても、ラ・ヘルメスのエクレアであったりロンチチのロールケーキだったりとお菓子ばかり持ってきた様子。


「いいんですか、こんな高そうなもの」


さすがにおどろくよねー。


「おう食え食え。俺の財布を食うつもりで遠慮なく。」


「それにしてもよくこんな甘い物ブランド知ってますね。」


「まぁぶっちゃけ砂糖ラブなんだよ。」


…でかいのにね


「明日からの体育の授業は鷹岡先生が?」


「おう政府からの要請でな。烏間の負担をへらすためにな。」


そう言って近所の父ちゃん発言をしたこの人にやっぱり少し違和感を覚えるのであった。



翌日

体育の時間に私たちの時間割が変更されたといい、鷹岡は私たちにあるプリントを回した。


「うそ…でしょ。」
「10時間目…夜9時まで訓練。」


鷹岡が言うには理事長も許可したというこの時間割

…きっと理事長は勉強できなることをわかって許可したんだ。


…っていうかバイトもできない。



「ちょ…待ってくれよ。無理だぜこんなの!!遊ぶ時間もねーしできるわけねーよこんなの!」


この時、クラス全員の思ったことは同じだった。


だから前原くんが代表してそのことを鷹岡に訴えた。


これでなんとなかなる。


なんて少しでも思っていた私たちの希望は鷹岡が前原くんを殴ったことによって打ち砕かれることになった。




「“できない”じゃない、“やる”んだよ」


…あぁ。やっぱり嫌な予感はあたってしまった。




「さ、まずはスクワット300回かける3セットだ。抜けたいやつは抜けてもいいぞ。そのときは俺の権限で新しい生徒を補充させてもらう。俺が手塩にかけて育てた屈強な兵士は何人ともいる。一人やふたり入れ替わってもあのタコは逃げ出すまい。…けどな。俺はそういうことしたくないんだ。お前ら大事な家族なんだから。父親としてひとりでもかけて欲しくない。家族みんなで地球の危機を救おうぜ!!な!!」


そう言って先生はそばにいた有希子ちゃんと三村君の肩に手を置いた。



「な?お前は父ちゃんについてきてくれるよな?」




「嫌。烏間先生の方がいいです。」


…あ、やばい。


「有希子ちゃんだめ!!!」




ぱしん


そんな音とともに有希子ちゃんの身体は吹っ飛ぶのであった。


「神崎さん!?」
「有希子ちゃん大丈夫?」


鷹岡がいうには返事ははい以外認めないと言ってた。


文句があるなら拳と拳でやろうかなんて今までの流れから見て誰がそれをやるのだろうか。




「大丈夫か?首に痛みとかは?」

少しして烏間先生と殺せんせーが校舎からでて有希子ちゃんと前原くんに状態を聞いていた。


「大丈夫です。」

「へ、へーきっす。」


…本当に大丈夫だろうか。



それから少しして結局鷹岡の授業ははじまるのであった。


そこには先ほどお腹を蹴られた前原くんの姿も有希子ちゃんの姿もある。



「冗談じゃね…」
「最初からスクワット300回とか死んじまうよ。」


男子でも根を上げるこの授業。


もちろんそんな授業に女子がついていける訳もなく…


「烏間先生…」


なんて根を上げる生徒が出てくるのは当然のことであった。




しかし、そんな女子にも鷹岡は容赦ない。


「おい。烏間は俺たち家族の一員じゃないぞ。…おしおきだな。父ちゃんを頼ろうとしない子には」


そう言ってひなちゃんを殴る体制に入った高岡。





「それ以上、生徒たちに手荒くするな。」


「烏間先生!」


しかし烏間先生によってそれが起きることはなかった。




それからというもの、烏間先生と鷹岡がもめているのを私たち生徒はただみまもるだけであった。



そして鷹岡は烏間先生にある提案をした。


イチオシの生徒を2人選び、本物の刃物を当てられたら勝ち…去っていくという提案を。


烏間先生はその提案後。


何かを考えながら私たち生徒の方を振り返った。


その表情はすごく何かを迷ってる模様。


その表情をしながら先生は私たちのもとへやってくる



「繭さん、渚くん…できるか。」



「え、繭…」
「なんで渚…」


「俺は暗殺任務を依頼した側として俺は君たちとはプロ同士だと思っている。プロとして君たちに払うべき最低限の報酬は当たり前の中学生活を保証することだと思っている。だからこのナイフは無理に受け取る必要はない。その時は俺が高岡に頼んで報酬を維持してもらうよう努力する。」


…私はこの人の目が好き。


こんなにまっすぐ目を見て話してくれる人は家族にもいない。


立場上、私たちに内緒のこともたくさんあるのだろう


なんで私…いや、私たちを選んだのかもわからない。



けど…


「やります。」「僕も。」


そう言って私たちは同時にナイフに触れた。


だって…この先生が渡す刃なら信頼できるから。




私たちがナイフを取ったことにみんなが驚いている。



「なぎさーゴムかしてー」

「んー何本?」

「2本―。」

「んー。」


そう言って渚と同じように結んだ私。


その後烏間先生からアドバイスをもらった私たち。


ナイフは私が持っている。


「ねぇ渚おもったんだけどさぁ。」


「うん。今同じこと思った。」


「あ、そう?じゃあこの先もなんにもいわないよ?」


「いいよー。」



アドバイスを考えながら私たちは一つの結論に向かった。


そう。戦って勝たなくてもいいんだということ。


とりあえず何をしても


“殺せば勝ちなんだ”


だから私は右手に持っていたナイフを下ろして左手で渚の右手を掴んだ。


そして私たちはいつもどおり、小さい頃一緒にお散歩したかのように微笑みながら相手に向かっていった。


それはとなりの渚も同じこと


そして鷹岡の手にあたってから一秒後、私たちはお互いをつないでいた手を外し、私はナイフを振り上げた。


そこで初めて鷹岡は自分が殺されかけていたことに気づく。


その際にぎょっとして体勢を崩す。


それと同時に左にいた渚が先生の服を掴み、転ばした。


私たちは仕留めに行く。


まず渚が正面からだと防がれるので後ろに回って高岡先生の目をふさぐ


そして私が先生の正面から首にナイフを当てる。



はい。終わり。



「「捕まえた。」」




それから数秒たっても何も起こらないんだけど…


「ねぇ峰打ちじゃダメだったっけ?」


「え、じゃあやっちゃう?」


「え、ちょっと繭それダメだって。」


「そこまで」


そんなことを話していると殺せんせーが来てくれてナイフを食べた。


ナイフが完全になくなったと同時ぐらいにみんながこっちへ走ってくるのが見えた。


「できたね、渚。」


「そうだね。」



その後、渚は前原くんに叩かれて私はというと


「もう無茶すんなよ?」


「はーい。」


悠くんから頭をぽんぽんされるのであった。





それっきり鷹岡が授業をすることはなかった。


だって烏間先生と理事長がクビにしてくれたのだから。



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