第5話 球技大会の時間 第5話 球技大会の時間 「ふむふむ。クラス対抗球技大会ですかぁ。健康な心身をスポーツで養う。…大いに結構。」 そうなんです。もうすぐ球技大会の時期なんです。 ただ、ここE組は学年対抗ではなく、E組とそれぞれ部活との対決になるようで。女子はバスケ、男子は野球になるようです。 女子のメンバーは めぐちゃん ひなちゃん 桃花ちゃん 莉桜ちゃん 男子のメンバーは杉野くんを筆頭にしていくみたいで寺坂くんたちは参加しないようです。 監督はもちろん殺監督。 みんな必死に頑張るみたいです。 「ところでさぁ、やるからにはマネージャーとかほしくね?」 それを言いだしたのは前原くん。 「え?マネージャーいるの?」 「けど、女子で何人かこっちでるよ?」 しかも運動部にいた子がほぼ出てる気がするんだけど… 「うへ。マネージャー…」 なんて妄想中の男子もいるからまぁ突っ込まないけど。 「じゃあさ、繭ちゃんでどうよ?」 …なんかぼーっとしてる間に呼ばれた気がするなぁなんて適当に考えながら前を向いてみるとなぜか全員が私を見ていた。 「え?何?」 「だーかーら、繭ちゃんマネやらね?」 「…なにしたらいいかおしえてくれるんだったらいいけど。」 「え。繭。家とか平気なの?」 「あー大丈夫じゃない?今出張でいないしご飯作らなくていいから。」 …それにマネしてたら悠くん見れるかななんてね。 「よーし。じゃあ繭ちゃん今日からよろしくね。」 「はーい。」 こうやって私もなんかやることになり、当日 私は当たり前のようにE組のベンチにいるのだった。 「おい、あれ誰だ?」 「うわーE組にあんな子いたんだ。」 なんか言われてる… 「大丈夫か繭。」 「うん平気!悠くん今日は頑張ってね。」 …というかなんかあっちえらい気合入ってるんだけど。 「そういや殺監督どこだ?指揮するんじゃねーのかよ。」 殺監督はまぁすごく遠くにいる。 烏間先生に目立つなって言われたからだろうけど 顔色でサインを出すという殺せんせー。 最初に出したサインは… 「「殺す気で勝てってさ。」」 「確かに、俺らにはもっとでかいターゲットがいるんだ。あいつらに勝てなきゃあの先生は殺せないよな。」 と言いながら杉野くんの肩を持った悠くん。 …うん。イケメン。 「よっしゃ。やるか」 「「「おー」」」 こうして始まった男子野球 一回表の攻撃は木村くんから。 まず一級逃した木村くん。 …うわーはや。 その次の玉で木村くんはバントをとり、1塁へと走るのであった。 これにE組のみんなは喜ぶ。 「やったー」 それに対し私も少しテンションが上がるのであった。 第2バッター渚。 渚もバントをとり1塁へ、その間に木村くんは2塁へと走っていくのであった。 「わーやっぱスゴイや。」 「トーゼン。だって俺らはあれ相手に練習してたからね。」 あれというのは殺せんせー。 300kmというありえない速さのボールやキャッチャーの心理作戦。内野の守りなどあれは行き過ぎだろうと思ったくらいだけど通用しているからびっくりだ。 はぁはぁ… E組の練習場に広がるのは荒い息遣い。 そこで出るのが私の番 「はい、どうぞ。」 その声と共に渡すのは先生にあらかじめ用意するように頼まれたドリンクとタオル。 「お。さんきゅー」 「ありがとう」 などみんなが受け取ってくれる中で 「汐見さんいいー」とかいう悲鳴をあげながら岡島くんが突っ込んできそうになって反応に困ったのは言うまでもない。 その後、竹林くんの情報分析により勝つためにどうしていくかの方向性が見えてきた。 ストレートさえ押さえればこっちのもの。 ということで先生の超高速球を見たあとに野球部の玉を見ても全然速さなどは感じないということで、その後の悠くんもバントを成功させるのであった。 これで満塁になった。 そして最後に杉野くん ホームランとまではいかなかったが遠くに打球を飛ばすことができて先ほどのゆうくんまでの走者がこちらに戻ってくることができ、E組は3点先に取ることができたのだった。 「よっしゃ」 「やったー」 その後一回表から理事長が向こうのベンチへ入り、ここからE組の攻撃は出来にくくなるのであった。 まず相手がしてきたのは内野責め 「…バントしかないって気づかれたのかな」 「けどだめだろあんな至近距離で」 けど、審判がダメと言わなければこの守りは許可される。 まぁ審判は完全にあっち側だけど そして結局アウトになって終わってしまった。 「繭。」 次は向こうの攻撃という時に後ろから呼ばれたので振り返ってみるとそこには女子のみんながいた。 「みんな!」 「ねぇ男子どう?」 「まぁそれが…」 みんなも向こうのベンチを見て納得したのかそっかという声が少し聞こえた。 次ピッチャーは杉野くん、そしてキャッチャーは渚。 まぁ打たしては取れないのは見えてるんだけど この間に先生が何か言ったのだろうか、次の打順は赤羽くんからで彼はいきなり挑発を始めるのであった。 その後2回表3回表すべて0点で進んでいくのであった。 それに対し相手は2点を収め、勝負はぎりぎりな戦いになるのであった。 3回裏。 野球部はみんなバントをしてくるのであった。 これにはみんなが驚き、いつの間にかノーアウト満塁になってしまうのであった。 これはやばいそうみんな思ったのであろう。 いつの間にか杉野くんの周りに集まっていたみんな。 その場に赤羽くんだけいなかったがあとから小走りできた赤羽くんがみんなに何かを伝えたようでE組みんなは先ほど野球部がやったのと同じように内野を中心に守るのであった、 それにしても… 「なんか悠くん不安そう。」 その間に赤羽くんは理事長と話をし、守備位置の許可をとるのであった。 「ご自由に選ばれたものは守備位置などでは心を乱さない。」 なんて理事長がいったものだから悠くんと赤羽くんはさらにバッターと距離を縮めるのであった。 いつの間にか自分の手を握りしめていた。 それもいつものようにではなくいつもより強めに。 …どうか怪我なんておこりませんように。 1球目。 大きくバットを振った野球部進藤くんのバットをあまり動かずに避けたふたり。 まぁ悠くんたちは動体視力はいいんだと思う。 だから殺せんせーもあの二人を指名したのだとは思うんだけど 2球目 進藤くんに挑発を続ける赤羽くん。 その挑発のせいか2球目が進藤くんのもとへたどり着く前にはもう進藤くんは理事長の戦略に体がついていかなくなっているように思えた。 そのせいかボールは軽くだけあたり、そのボールは赤羽くんから渚へと渡されるのであった。 「渚、三塁。木村一塁。バッター走ってないから焦んなくて大丈夫だぞ。」 バッター三振で終わった球技大会。 みんなが喜びではしゃいでいる。 それは男子も女子も同じ。 そんな中、私の目からは涙が溢れ出るのであった。 「繭もありがとな。」 止まらず溢れ出るものを止めたのはやっぱりゆうくんだった。 「なんもしてないよ?」 「それでもありがとな。」 そう言いながら引っ張っられたのは男子のみんなのところだった 「うわ。美少女の涙…」 「いや、岡島ひくわ。」 「汐見さんおつかれさん」 なんて暖かいことを言ってくれるみんな。 私E組に来て良かった… なんて改めて思ったり。 ← |