水色少女日和 | ナノ





第1話 転校生




「もうすぐそっちに向かうね。 繭」


そんなメールが彼に届いてからもうすぐ3日。




今日もこの教室では暗殺が行われるのであった。




-水色少女日和-

第1話 転校生



教室の中で響く銃声。



それと伴って聞こえてくるのは先ほどであった黄色いタコときっと生徒たちであろう人々の出欠確認。



…やっぱりこの教室で行われているのは本当だったんだ。




銃声が終わったのと同時に出欠確認も終わった模様で、中では少し静かになった先生と生徒の会話が聞こえてくる。


「すばらしい、先生とっても嬉しいです。」



…うれしいんだ。



しばらくして一発の銃声がしたと思ったら中から私を呼ぶ声がした。


「あーそうそう。みなさんに言うのを忘れてました。」



「えーなんだよ先生。」



「実は今日からこの教室に転校生がきます。」



「はぁー?」
「え、なんでまたE組に?」



…学校の説明を聞かされる時にE組のことはきいた。


けど私はここがどんなところでもべつにいいんだ。




「なんでもどうしてもE組がいいそうなので。



まぁ理由は本人にでも聞いてあげてください。



でわ、どうぞ。」



そして私は中に入った。




中に入ってみると、生徒の数やいる人々はあんまり変わった様子はなく…一部不良っぽい子はいるけど



私はあんまり考えることもなく教壇に向かうのであった。



「では自己紹介をどうぞ。」



黒板に私の名前を書いた先生を横目で見ながら私は改めてE組の人々の方へ体を向けるのであった。


…ってさっそく知った人を発見。



「「あれ?悠くん?/は?繭?」」


わお。なぜかはもってしまった。


「え?磯貝知り合いかよ。」



「あ、うん。」



「え、悠くん椚ヶ丘だったの?」



「え、そうだよ。」



その後もなぜか質問攻めにあっていた悠くん。




「まぁまぁお二人の会話はあとにしてとりあえず自己紹介をどうぞ。」



…あ、忘れてた。



「そこらへんの女子中学校から転校してきました汐見繭です。よろしくお願いします。」



そう言って私はお辞儀をした。



「では汐見さんは原さんの後ろの席でお願いします。」



「はい。えっと…どこでしょう?」



…まず原さんを教えてくれ。



「ほら、窓側の後ろの席だよ。」



そう教えてくれたのはもちろん目の前にいた悠くん。



「うん。ありがとう悠くん。」



「いや、別に…」



悠くん、顔が真っ赤になっていたけど大丈夫だろうか。



そうおもいつつ私は席へ向かった。



途中…



「お。繭ちゃん久しぶりー。」


「うん。前原くん久しぶりだね!」



いっつも悠くんと一緒にいた前原くんと少しだけお話して私はその次の席の前で止まった。



「久しぶり、渚。髪の毛くくっちゃってるから最初わからなかったよ。」


そう言うと渚もその場に立ってくれて目線が一緒の高さになった。


「久しぶり繭。繭は髪伸びたね。」



「うん。あれからずーっと伸ばしていたからね。」



あー渚はなんにも変わってない。


そんなことを思いながら私は渚のおでこに自分のものを当てる。



もちろん教室からはびっくりしたような声や悲鳴がが聞こえたり…



「ねぇお母さんどう?」



「んー?一緒だよ。あの時から」



「そう。お父さんも元気だよ。また渚に会いたいってさ。」



「そう。」




もう少ししたらキスできそうな距離。



他人からしたら異様な距離だけど私たちにしたら普通。





「おやおや渚くんと汐見さんはそういう関係なんですかねぇ?」



そういってニヤニヤしながら聞いてくる殺せんせー。



「へぇ渚も男ってわけか。」


そういったのは隣の金髪の女の子。



「はぁ。繭そろそろネタばらししないと磯貝くんおこっちゃうよ?」



「え、やだ。それは困る。」




…それに隣の緑の髪の子からもなんか見られているような気がするんだけど。



そう思うと私は渚から離れた。



「ごめんなさい先生。



私と渚はそんな関係じゃないんですよ。」




「なにゅ?そうなんですか???」



そして私は渚とアイコンタクトをして二人でこういった


「「だって私たち/僕たち、双子なんで。」」




それを言った途端、教室は今までにないくらいの大きな驚きがあがった。




「渚とは一緒に学校に行った思い出がないので、今回この学校を選ばせてもらったんです。



それに私とそんな関係にあるのは悠くんだけですしね。」




本日二度目の爆弾発言にみんなの視線はなぜかのゆうくんにすべて行くのであった。



「こら、ばか繭」


そんな悠くんの顔は先程よりもすごく赤い。



結局その日一日中は赤かったんじゃないかと思うくらいだった。






まぁそんな感じでお昼休み


「では先生、ちょっと中国まで麻婆豆腐を食べてきます。」


なんて声と共に出て行った先生。



…いいなぁなんて心のどっかに思いながら私はなんとなく窓の方をみるのであった。



そこには三日月になった月。


そしてそれをやったのはあのタコ。


まぁ今までとなんにも変わらないはずなんだけどね。


っていうか今日バイトだったような。…ぬーん。



あれそういや渚どこいったんだろう。



悠くんは前原くんとどこかに行くのは見えたんだけど。




適当に歩き回って渚を探すと案外早く見つかった渚。


まぁその前にあの先生が歩いてきたから聞いただけなんだけど。


「なぎさーー。」


「あ。繭。」



「…ねぇなんかあった?」


私はすぐ異変に気づいた。


「なんにもないよ?ほら、もう行かないと。授業はじまるし。」


けど渚は何も言ってくれない。



…あーやっぱり私は頼りないのかな。




その次の授業。


お題に従って短歌を作るという時間が私たちに与えられた。


いやいや「触手なりけり」って…


その後先生が例文を言ってくれたんだけど


「触手だったんだなって…」



うん。まったくもってそう思うよ、悠くん。



少しして渚が立った。


渚の手には短歌を書く紙と…対先生用ナイフ。


それに気付いたのは生徒全員。



ただそれだけならよかった。



けど私は先ほどの渚の様子がおかしくてずっと引っかかっていたことがあった。



渚がここにいるってことは、何かを認めさせたいんじゃないかって。



だからナイフの他になにか持ってる…そんな気がしたんだ。



当たらないで欲しいと思った願いは惜しくもあたってしまった。



渚の首にはなんか小型のものがあったのだから。



それが見えたのは渚が先生に抱きついたとき。



「渚、やめて!!!」



そんな私の声と共に不良くんが何かのスイッチを押した。



そして爆風と共に対先生用BB弾があたりに飛び散るのであった。



「寺坂!」
「なにやったんだ!」


悠くん、前原くんが何かを言ってるけどもう私には何が何だかわからない。



…やだよ。



もう一人にしないで…




なにも聞きたくない、何も見たくない、もう嫌だ。



私は目をつぶって耳をふさいだ。



「ねぇちょっと汐見さん!?大丈夫!?」



原さんが必死に私に何かを言ってくれるけどもう私には聞こえていない。





しばらく私はそうしていたので先生が何かを言っていたりその後どうなったかを把握するのは不可能であった。






「とりあえず渚くん。君は彼女をどうにかしてあげなさい。」



その声と共に先生が指をさしたのは教室の後ろの方で怯える繭。



その前では原さんが少し困ったような顔をしていたけどクラス全員は繭の状況に気づいていなかった。


…あの磯貝くんでさえも



「君たちは兄弟なのですから。」




その声を聞いて僕の足はやっと動いてくれた。




とりあえず繭の目の前まできた僕に原さんは席を譲ってくれた。


僕はその席に座り耳をふさぐ繭の手を取って話しかける。



「ごめん繭…僕…」


「渚のばか。」


「うん…」



「ずっと一緒にいようっていったじゃん。」



「…うん。」


「ばかばかばーか」



「…ふふ。」



「ちょっと何がおかしいのよ。」


そう言って顔を上げた繭の顔はぐちゃぐちゃだった。



「やっぱり何も変わらないね。」



「…ふん。怒ってるもん。」



「…しょーがないなぁ。今度アイスおごってあげるから。」



「ハーゲンダッツ3つね。」



「はいはい。」




そう言って僕たちは笑いあった。



これは小さい時から変わらない僕たちの仲直りの仕方。



その後原さんにお礼を行ったあと僕らは昔のように手をつないで帰るのであった。




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