水色少女日和 | ナノ





第10話 沖縄な時間




「にゅやぁ…船はやばい。船はマジでやばい。…」


なんて言ってるグロッキーな先生と


「!」


「ひなちゃんみてみて!」


東京から6時間かけて私たちは島へと到着するのであった。


第10話 沖縄な時間



「ようこそ普久間島リゾートホテルへ。サービスのトロピカルジュースでございます。」


そう。ここが私たちがA組からもらったもの。


そして、殺せんせーを殺す場所になるところ。



まぁこの場所、ホテルから直行でビーチに行けるみたいだし、またいろいろなレジャーもあるみたいだからまずはみんなで遊ぼう…ということで。


「いっくよーせんせー、繭。」


「うん!」


私、ひなちゃんを含む修学旅行1班のみんなはエアリゾートにのっています。



「きゃー」


「わぁー」


ほか、悠くんたちも一緒になって遊んでいるんだけど私たちの目的はとりあえずほかの班のことを考えさせなくするのが目的。


「あーたのしかった!」


「ねー!」


私たちがこうしている間にも凛ちゃん、千葉くんが射撃場所をきめたりとみんながどんどん夜に向けて準備をはじめるのであった。




「いやぁ遊んだ遊んだ。」


今日一日で思いっきり殺せんせーは遊んだのであろう…だって


「おかげで真っ黒に焼けました。」


「「「黒すぎだろ!!!」」」


なぜか歯まで黒く焼けた先生。


…まるで表情が読み取れない。


「じゃ殺せんせー。メシの後暗殺なんでまずはレストラン行きましょう。」


悠くんがそういったのと同時にみんなで貸切の船へと向かうのだった。


「あ、そうだ繭。」


「ん?なに?」


「なんか烏間先生が言ってたんだけど貸切にしちゃったからさ、料理運ぶ人がいないんだって。」


「あー。じゃあ私が運んでいったらいい?」


「わるいな…まぁ俺も手伝うけどさぁ。」


「いいじゃん。まぁずーっとバイトはしてるからね!落としはしないと思うよ!」


その後、レストランについた私たちはとりあえずみんなに好きな席に座ってもらい、私はみんなにジュースを配っていくのだった。


「はい、莉桜ちゃん。」


「さんきゅ。」


「ひなちゃんも置いとくよー。」


「ありがとう…って繭なんか慣れてるね。」


「はは。悠くんと同じところでずっとバイトしてるからね。」


「へぇー…よくあの理事長が許したね。」


「編入するときにお願いしたらE組なら構わないって言ってくれたしね…まぁそれでなくてもE組にいく予定は変わらなかったんだけど。」


「へぇーまたいつかさぁ磯貝くんとの出会いとか教えてよ。」


「いつかね!」


そんな会話もしながらジュースを配り、私たちは夕食を楽しんでいくのであった。



結局よってしまったセンセーとともに私たちはホテルの離れの一室へと足を運ぶのであった。



「繭―。」


「え?悠くん?」


「お前、絶対茅野と一緒にいろよ?」


「へ?あ、うん。」


「それだけ。じゃ。あとでな。」


「うん。ゆうくんもがんばってー!」


それだけを言いに来たゆうくん。


「ははー。磯貝くんも心配性だね。」


「そうなのかな?」


のちのち一緒に行動するカエデちゃんにこのことを言うとすごくニヤニヤしていた。


あ、私が破壊するはずだった触手は悠くんにお願いすることになりました。


…いや、水だしね。


「…きた。」


それから約一時間後。


満潮を迎えた頃。


私たちの作戦は開始された。


私とカエデちゃんは必死になってホースを小屋へ向ける。


そして最後、凛ちゃんと千葉くんが撃ったのと同時ぐらいに殺せんせーがいたであろう場所が閃光とともにはじけ飛ぶのであった。




今までの暗殺とは違いそれぞれが殺った手応えを感じていたが、


少しして殺せんせーは完全防御形態とかいう球体のものが出てくるのであった。


完全防御形態になった殺せんせーを殺す手段がなくて、みんなの落胆はすごかった。


「はい、タオル。」


私とカエデちゃんはみんなにタオルを配っていく。


しかし、受け取ってはくれるものの、みんなの疲労感は大きいなと直感的に思うのだった。


「しっかし、疲れたわー。」


「もう自室で休もうか…」


ホテルに帰った私たちを待っていたのはなんか異常な光景だった。


それは莉桜ちゃんの近くにた渚も思っていたみたいで、


「ちょっと前原くん大丈夫?」


「あ、繭ちゃん。へーきへーき。」


「鼻血ブ…いや、あれ。」


…なにこれ。


「ねぇフロントさん。この島に病院は?」


「え、いや…なにせ小さな島なので。」


聞くところによると診療所はあるが当直医は夜には帰ってしまうみたいで、船で移動するにも船自体が明日まで来ないとかいうらしい。


「汐見さんどうした?」


「烏間先生、みんなが…」


大変なんです…それを言う前に烏間先生の携帯がなった。


「…何者だ?」


電話の相手はいったい誰なんだろうか…


「はぁはぁ…」


「ひなちゃん!杉野くん!」


「ねぇこれって…」


「渚、みんななんかやばいよ…」


渚とこんなことを言ってると烏間先生と目があうのだった。






「…というわけだ」


あれから烏間先生から先ほどの電話についての説明があったが私たちには打つ手なしという感じだった。


烏間先生でも考えてしまうこの状況、


しかし殺せんせーだけは違った。


「いい方法がありますよ。


病院に逃げるより、大人しく従うよりは


律さんに頼んだ下調べも終わったようです。


元気な人は来てください。汚れてもいい格好でね。」


そう言った殺せんせーと一緒に向かったのは崖。


殺せんせーがいうにはこの上にあの相手がいるホテルがあるというのだ。


まず律がそれぞれのスマホに地図を流し、それによるとこの上に通用口があるのでそこからなら侵入できるというのだ、


先生が言うにはそこからみんなで最上階を目指す。


危険だけど…相手はプロだけど…私たちの答えは決まった。


「いや、まあ…崖だけなら楽勝だけどさ。」


「いつもの訓練に比べたらね。」


「でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから、」


「烏間先生。難しいけどしっかり指揮を頼みますよ。」


こういうとき、悠くんはしっかりしてるなって思う。


「注目!」


そして私たちは19時50分…作戦を開始するのであった。



まず最初の難関となったのはロビー。


ここはビッチ先生が引きつけてくれて、


その後も現れていく敵をみんなで倒していくのだった。



そして最上階私たちは最後の敵の目の前まで来ていた。









「屋上へ行こうか。愛する生徒に歓迎の用意がしてあるんだ。ついてくるよなぁ?おまえらのクラスは俺の慈悲で生かされているんだから。」


そう、あの鷹岡のもとへ。




狂気と憎悪が刻み込まれた顔面で笑った鷹岡を見て…思い出されるのはクラスメイトの苦痛の記憶。



屋上についた私たちに鷹岡はもともとの予定だったものを説明した。


説明によれば烏間先生に出した条件…最も身長が低い男女一名づつ…渚と私に殺せんせーを持ってこさせ、私を使って殺せんせーとセメントに生き埋めにする予定だったみたい。


なんという悪魔なやつなんだろう。



「特に、潮田渚、汐見繭。俺の未来を汚したお前らを絶対許さない。」


まさかそこで私たちの名前が出てくるとは思っていなかったけど…これは完全に私と渚への逆恨みだった。



ぎゅ


…気づけば悠くんが私の手を握ってくれていた。


「へーつまり渚くんと汐見ちゃんはあんたの恨みを晴らすために呼ばれたわけ。その体格差で本気で勝ってうれしいいわけ。俺ならもーちょっと楽しませてやれるけど?」


その後も寺坂くんがなんか言っていたけど、鷹岡は聞く耳を持たなかった。



「ちび。お前ら二人で登ってこい!このうえのヘリポートまで。」


二人…というのは渚と私だろう。


「渚…ダメ行ったら」

向こうでカエデちゃんが渚に向かって言っている。


「繭も…行くなよ。」


もちろん悠くんも。



振り返ってみるとすごく不安そうな悠くん。


「ねぇ悠くん離して?」


何をと言わなくてもわかるようにあれから悠くんは私の手を握ったままなのである。


「やだ…」


「あれだけ興奮してたら何をするかわからないでしょ?だから渚といって話をしてくるの。」



「そうだけどさぁ…」


「大丈夫…絶対戻ってくるから。」


「うん。」


そう言うと悠くんの手は私から離れた。


だから私は最後にゆうくんに近づき、耳元で“…”って言ったあと頬にキスを落としてから戦場に向かうのであった。





「行きたくないけど…いこっか。」


「うん。」


こうして私たちは鷹岡のまつヘリポートへと向かうのであった。


ヘリポートへついた私たちに鷹岡がまず要求したのは土下座だった。


その場に土下座をした私たちの頭の上から鷹岡は何度も足を乗せる。


それが終わり上機嫌になった鷹岡はいいことを教えてやろうといいあのウイルスについての説明をし始めた。


もちろん、最期にどうなるかについてもね。



「なぁ…みたいだろ。渚くん。繭さん。」


鷹岡はスーツケースを上に投げる。


…だめ。


「「やめろーーー」」


そんな声も虚しく、スーツケースは鷹岡によって破壊されるのであった。


みんなの表情が悲しみに変わる。


それはとなりの渚も同じ様子で渚はふと寺坂くんを見た。


私も気になってみたものの、寺坂くんの呼吸は少し荒そうに思った。


…まさかウイルス。


私がそう思うのと同時ぐらいに隣の渚が立ち上がった。


「な、ぎさ…」


渚の手には先程まで地面に置いてあったナイフがあり、渚が鷹岡を見る目には…殺意がこもっていた。



「殺してやる…よくも皆を。」


…なぎさ、本気で鷹岡をやるんだろうか。


そりゃあわたしも許せないけど、かといって…


なんて思っていると寺坂くんが渚にスタンガンを投げたようで、渚の頭にそれが当たるのであった。


「チョーシこいてんじゃねーぞ渚!薬が破壊された時よ、テメー俺を哀れむような目で見ただろ!いっちょ前に他人の気遣いしてんじゃねーぞもやし野郎。ウイルスなんぞ寝てりゃ治せんだよ!

そんなクズでも息の根とめりゃ殺人罪だ。テメーはきれるに任せて百億のチャンス手放すのか?」


…やっぱり寺坂くんはウイルスに。


「ねぇ渚。」


「ん?」


「こんどはさ、これを使って死なない程度に殺っちゃおうよ。」


その言葉が聞こえたのかわからないけど、渚はとりあえずパーカーを脱いでやる気になっていた。


それから私たちは攻撃しようとするもののすべて鷹岡によってはじかれてしまうのであった。


「けほっ…」


「あぐっ…」


きっと今の鷹岡は戦闘のときのものであの時とは違う。


それによって体格、技術などいろいろな点が実力の差を生み出していた。



「繭。…僕あれつかおうと思うんだ。」


「あれ?」


「うん。」


…あ。


「この前のやつ?」


「うん。…だから今度は見てて?」


そう言って渚は鷹岡のもとへ笑って歩いて行った。


私は痛む体を抑えながらもその場に頑張って立つ。


そして渚はあの技を成功させた。


鷹岡は渚の前へ座り込んでしまう。


「…ほら繭。」


「うん。」


技は渚だけで終わっちゃったけど…最後は二人。


「「鷹岡先生、いろいろありがとうございました。」」

そう言って私と渚はこの前と同じように笑ってスタンガンを当てるのだった。



ずしゃ



その音とともに鷹岡が倒れた。


「「「よっしゃボス撃破!!!」」」


みんなの喜ぶ声が聞こえる。


そんな中で私と渚はお互い手をぶつけるのであった。


こうして私たちの戦いは終わった。




結局ウイルスも食中毒を改良したもので、栄養剤をみんなに飲ませたらすぐに良くなり、二日目はそれぞれがそれぞれの疲れで眠り、みんなが起きたのは夕方だった。


そして殺せんせーも無事、いつもの姿となるのだった。





ってことで今はみんなで帰っているのですが。


「悠くんねむーい。」


「はいはい。ほら肩かしてやるから。」


「はーい。」


「あーそういばさぁ繭。」


「んー?」


「俺も愛してるから…」


「んふふ。…すぅ」


聞こえたか聞こえていないかはわからない。


けどこれはきっとあの時の返事。




“世界で一番…愛してます。”




悠くんも同じ気持ちだと嬉しいな。





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