水色少女日和 | ナノ





第9話 期末な時間





椚ヶ丘中学校ではもうすぐ期末テストが始まる。


今回の期末テスト、前回は総合点での結果しか見ていなかったけど、今回は各教科得意科目に注目してそれぞれ学年一位を取った生徒には触手をそれぞれ1本ずつ破壊できるというものも付けた。


第9話 期末な時間




「ってかせんせー、ちなみに学年1位を取るとなにしてくれるんですか?」

…いってなかったんですけど、私実は頭がいいんです


「んにゅ?繭さんなんだか自信満々ですね。…あーそういえば繭さんは前回の中間テストでは風邪で休まれたんでしたよね?」


「はい。」


「そういや繭ちゃんって頭いいのー?磯貝?」


「…いきなりふるなよー。まぁけど結構いいんじゃない?よくテスト前は教えてもらってたし。」


「そうですかー。にゅるふふふ…さてどうしますかねぇ。」


…どうしてくれるのかなぁ。殺させてくれたら面白くないしなぁ。


「殺せんせー。あんまり舐めないほうがいいよ?」


「あー渚は黙ってて。」


「だって、繭。僕と違ってずっと頭いいから。…本当だったらAクラスでも大丈夫なくらいだしね。」


「「え?」」


この発言にクラスの全員がなぜか驚いた。


「もう。…そうですよー。だって前の学校学年1位ばかりとってましたから。」


「えーじゃあ繭ちゃんが全部1位とっちゃうと先生の触手なくなっちゃうね。」


「にゅや。それは困る…」


「じゃあ先生。私がもし学年一位だった場合、触手1本だけ破壊させてくださいね。」


「え…ってことは?」


「各教科学年1位は私以外でお願いします。」


「…うーん。そういうことなら…。」


この条件で先生はOKしてくれた。


「じゃあ繭ちゃん放課後勉強教えてー。」


「いいよー。」


「やったー。」


こうして私は学年1位を…みんなは各教科で頑張ることとなったのであった。


その後野球の時に対戦相手だった進藤くんからの電話により五英傑がA組強化を開始したことを聞いたものの、みんなの意識は殺せんせーの触手の方にいくのであった。


「繭帰ろー。」


「はーい。」


校舎を出たとたん、自然と繋がれる私たちの手。


「あ、そうだ。明日の放課後渚と茅野と一緒に図書室で勉強するんだけど繭もくる?」


「…うーん。確か大丈夫だったはず!行こうかな。」


「じゃあ決まりな。あ、そうだ。この前母さんが言ってたんだけど、またいつでもいいから家来いよ。繭の作った料理食べたいんだって。」


「えへへ。じゃああの時のお礼も兼ねてテストが終わってから行こうかな。」


「お?まじ?じゃあ楽しみにしてる。」


「うん。」


そう言って私たちはいつものように帰っていくのであった。




次の日の放課後


「あ、渚ここ違うよ。X=3だから…」


「あ、そうだ。…じゃあこう?」


「そう。…で、こっちも。」


という感じに図書室で勉強するのであった。



「おや、E組のみなさんじゃないですか…もったいない。君たちにこの教室は豚に真珠じゃないかな?」


…と現れた人々なんだけど…だれ?


「どけよざこども。そこは俺らの席だ。とっととうせな。」


…いや、うざいなぁ。


「ここは俺らがちゃんと予約してとった席だぞ。」


「そーそークーラーの中で勉強するなんて久々でチョー天国。」


その後もこの偉そうな人々は私たちに散々なことを行ってきた。



「いや、待てよ…記憶をたどれば確かに…一概に学力なしとは言い切れないな。」


そりゃあね。



有希子ちゃん…国語23位

悠くん…社会14位

莉桜ちゃん…英語11位

奥田さん…理科17位




「まぁこの女は知らないけどな。」


そう言いながら奥田さんの前にいたその男は奥田さんの頭を叩くのであった。



「面白い…じゃあこういうのはどうだろう。」

そう言って今度はメガネをかけた人が気づけば私とゆうくんの間にいて、私の頭に手を置いてきた。

…というか地味に痛い。


「俺らA組と君らE組。5強化でより多く学年トップをとったクラスが負けたクラスにどんなことでも命令できる」

…なんか面白い。


「どうした。急に黙ってびびったか?自信あるのは口だけかザコども。


なんならこっちは…命かけても構わないぜ。」


その言葉を聞いたとたん動き出したのは4人だった。



莉桜ちゃん
悠くん
有希子ちゃん


それぞれが相手に寸止めを食らわした


「「命は簡単にかけないほうがいいと思うよ」」



すると、あまりに驚いたのか五英傑の人々は逃げてった。


「なんだったんだろうね…」


「さぁな。」


そういった悠くんは先ほどまであのメガネさんの手があった私の頭を二回ほどポンポンし、その後再び勉強を再開するのであった。




そしてテスト当日私たちは全員でそれに挑むのであった。







…3日後

「さてみなさん。全教科の採点が届きました。」

その声と共にテストの返却が始まるのであった。



この学校では学年順位も答案とともに届けられるため、テストの結果は一目瞭然となる。

「さてみなさん。まず英語ですが…」

みんなが真剣に結果を待つ。


そして




「E組の1位…そして学年でも1位! 中村莉桜」

「続いて国語。E組1位神崎有希子。が、しかし学年1位は浅野学秀。」

「社会!E組1位磯貝悠馬。そして学年でも1位。」

「理科。E組1位奥田愛美。そして学年1位も奥田愛美。」


見事、莉桜ちゃん、悠くん、奥田さんが触手破壊の権利をもらい、無事にA組に勝つことができた。


「さてさてみなさんあと一つ触手をかけた人がいましたよねぇ。」


「あ、そっか。繭ちゃん何点だったー?」


誰が言ったのだろうその声と共にみんなの視線は私へと向くのであった。



「え、いや…あの。…私回答もらってないんだけど。」


「ヌルフフフ。みなさん繭さんの回答はここにあります。」


そう言って先生は5枚の紙を見せた。


「ではでは…繭さん皆さんに見せても大丈夫ですね。」


「とか言いながらもう見せる気満々じゃないんですか?」


私はそう言いつつも先生の方へ歩いていく。


「汐見繭…

国語 100点
数学 100点
社会 100点
理科 100点
英語 100点

合計500点 学年1位です。」


「やったね。」


先生が読み上げたのと同時にクラス中でも喜びの声が上がった。


「繭ちゃんすごーい。」

「これで4本破壊できる!」


そんなクラスの声を聞きながら先生は私にだけ聞こえるような声でこういうのであった。


「これまた先生驚きです。こんな点数を取るなんて幼少期からずっとお勉強していたんですね…まるで学校なんかに行かずにね。」


…あーあ。


「先生はやっぱりお見通しなんですね。


けど、それはまた今度で。」


そういいつつ私は腰に刺した対先生用ナイフを先生に向けるのだったが、相変わらずかわされてしまうのであった。



私たちが勝ち取った4本さらには家庭科で
寺坂組のみんなが100点を取ったため、合計8本の触手を破壊できることとなった。




そして

私たちは3勝2敗で賭けに勝つことができ、

その戦利品として沖縄リゾート2泊3日の旅を手に入れた。





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