「なるほど。これはまた素敵な乗り心地じゃありませんか」
 「風が鳴ってるって言ったろう。山猫だって騒ぎたくもなるじゃないか」
 「あんたらしくもない愚痴聞かそうってんならやめてほしい。こんなものはボクらが昔見た夢の、ほんのささやかな実現にしかすぎません。小金をためこんだ連中が豆鉄砲飛ばしたくらいで、鳩みたいに目を剥きなさんな」
 「例の騎士たちはいつやって来るんだい。都合二人来てくれるはずだと、王子様たちは報告してるんだけどね」
 ジョジョが微笑みながら、ビッグ・ママに尋ねる。
 「今日は何か特別の日なの」
 「記念すべき日だと言って欲しいのですよ、この人は」
 〈町さらい〉の老人が替わって答える。
 「白い馬にまたがった騎士が二人、哀れ〈見張塔〉に幽閉されたヒロイン、われらがビッグ・ママを果敢にも救い出しに来る日とね」
 「ところがその騎士たるやすっかり老いぼれちまってさ、ジョジョ。一年に一度の晴れ舞台だっていうのに、安酒くらって気炎をあげているだけなんだってさ。」
 「今日はきっと、おじいさんとビッグ・ママの、何かの記念日なんだ」
 「天気予報は何と言っていますか」
 話題を変えようというのか、〈町さらい〉の老人が誰にともなく尋ねた。僕は、自分に聞かれたのかと思い、一瞬身体を固くする。急いでそっとズボンのポケットに手を入れて、そこにずっと入れっぱなしになっている白い封筒を触ってみる。
 その日の朝だった。
 僕は新館への渡り廊下をひとりで歩いている。増築された新館は鉄筋コンクリートの四階建で、僕のいる校舎からはグラウンドを隔てて反対側にある。
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